メタン放出源である野生のシカ類の駆除にクレジットは?

Sent: Wednesday, November 17, 2021 6:41 PM

●●あてに以下のメールを出しました。計算合っているだろうか

 今回のUNFCCC・COP26では、牧牛のメタン排出量が問題視されているようです。最近、Future Earth Japanの会合でもVegan食になったりしているようですが、メタン対策という側面もあるのでしょう。

 それならば、野生のシカもメタンを排出します。むしろ、(菜食とは逆に)野生のシカを人間が食べて減らすことも考えてよいように思います。

 下記文献(Swainson et al. 2008)によると、CattleとRed deerの排出量はそれぞれ140.4 g CH4/dayと31.5 g CH4/dayです。これは主に体重と摂食量の違いです(摂食乾燥重量?当たりはそれぞれ18.4 gCH4/kg DMIと16.5 g CH4/kg DMI)。

http://www.sciquest.org.nz/node/147429

 日本には肉用牛、乳用牛が約400万頭いるそうです。

https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/tikusan/

 しかし、野生シカも相当数います。【全国で300万頭として】0にしないが、たとえば半減させるなら、牧牛を全廃する1割程度のメタン削減効果があるでしょう。

 ちなみに、GHGのオフセット価格は排出権取引市場では 10ドル/t-CO2e程度くらいになると思います。https://data.ecosystemmarketplace.com/

 メタン1トンの温室効果はCO2換算で28トン分になるようですから、ざっと計算して、牛400万頭分は年間60億円のオフセット代金になる(桁が違うか不安)。

https://www.cger.nies.go.jp/ja/library/qa/15/15-1/qa_15-1-j.html

 意外と大したことないかもしれません。野生シカ対策はその1割程度のクレジット代かもしれません。それでは(水源税のような)シカ対策費の足しにはなりませんかね。

 

最近のIPBESのポスト生態系サービス論

On 2024/04/17 14:12

  •  2010年頃に生態系サービス(ES)論を聴いて不満だったのは、森は豊かだが利用していないとか、Underuseという日本の主張(および花粉症や獣害のような負のサービス)がES論では表せなかったことです。
  • その後、NCP(Nature’s Contributions to People)になり、「自然」というCompartmentをESの前に入れてStockが豊かでFlowがないことは表現できるようなり、Dasgupta報告書では(馬奈木さんも引用して)自然資本を重視し、ES概念のNature‘s benefitをNature’s contributionに変え、都市も含めた二次的自然を重視し、Living in harmony with natureを2050年長期ビジョンに据えるなど(2010年に自然との共生を日本が唱えたときこの英語を使いましたが、それより、現在のIPBES文書にあるLiving in harmony with mother earthのほうが英語表現は元祖のようです)の点は、私は歓迎しました。
  • しかし、IPBES(2022)価値報告書SPMを見る限り、せっかくの調整サービス論がほとんど消えてしまったように見えます。Pricelessな価値も重視するのはよいですが、あまりにも多様化してしまい、グリーン経済の強みが生かせないこと、国際条約の共通認識が人間中心主義から外れてしまうことを危惧しています。

えりも岬 ゼニガタアザラシと漁業の共存

ゼニガタアザラシの保護管理

アザラシの仕事って…? | 北海道地方環境事務所 | 環境省 

 

 

■2022/12/20 庶野小学校での出前授業 スライドを用いた講義+剥製(見る触る)+ドローン

■2019/3/18 道主催の、日高管内在住の小学生親子が参加する学習観察会 北海道地方環境事務所 | 環境省


クマの人馴れを防ぐことが急務

知床世界遺産科学委員会クマWGで、利用者の問題行動に起因する危険事例が2024年度に70件発生したことが報告されました。2022年4月、改正自然公園法が施行され、知床国立公園で、ヒグマにエサを与えたり、著しく接近したりする行為は違法となりました。昨年度、北海道や東北地方でクマの人身事故が相次ぎ、知床でも多くの問題熊が捕獲されました。

 「人間とクマが互いを警戒し、避けあう」ことが共存の秘訣です。人を恐れない問題熊は、人と生ごみと農作物と家畜を襲うウェンカムイ(アイヌ語で「悪い神」)になります。観光客に慣れたクマは、住民の脅威になります。

 昨年問題個体を多数捕獲したことで、問題個体は総個体数とともに減ったようです。けれども、残念ながら、危険事例は減るどころか、増え続けていることが報告されました。このままでは、問題個体が生み出され続けます。人とクマの共存の根幹が崩れかねない事態です。

 法律では50m以内の接近を違反行為としていますが、それは摘発される基準であって、それ以遠なら人馴れしないという趣旨ではありません。ハラスメントギリギリの行為なら良いとは言えないのと同じです。本来、人馴れを避けるという趣旨を理解いただけるなら、この法律は不要でした。

 米国イエローストーンでは「ゴミがクマを殺す」という標語があります。ゴミをあさるようになったクマは駆除せざるを得ないという意味です。「カメラがクマを殺す」、つまり、近距離でカメラ撮影を繰り返されたクマが斜里市街地に侵入して駆除されています。人馴れしたクマは住民の脅威です。人身被害、家畜や農作物被害に繋がりかねません。

 ご理解いただけるよう願うばかりです。

www.asahi.com

 

Earthwatch Europe 市民科学とは

Earthwatch Institute (仮訳)

市民科学、地域社会との関わり

1971 年の設立以来、Earthwatch は、市民科学および地域社会との関わりの実績あるモデルを通じて、地球規模の変化に対処する活動を行ってきました。Earthwatch チームは、社会のあらゆる分野のボランティアと世界中の研究者を組み合わせることで、重要な生息地の保護、生物多様性保全、天然資源の持続可能な利用の促進に貢献してきました。

市民科学コミュニティは、包括的な言語の重要性と、それが聴衆やコミュニティに与える影響について、ますます認識するようになっています。 「市民citizen」などの用語から「協働科学(collaborative science)」や「参加型科学(participatory science)」などの代替用語に移行することで、合法的な市民ではない人々を排除する可能性のある市民権に関連する否定的な意味合いに対処することを目指しています。この言葉の転換は、市民権の有無にかかわらず、多様な視点と幅広い市民参加の重要性を認識しています。詳細については、市民科学協会のリソース「合意に至る」を参照してください。

アースウォッチは、私たち自身の活動について言及する際、「共同科学 」や 「参加型科学 」という言葉を好んで使う。私たちがより包括的な言葉へと移行していく中で、以前の活動や実践者コミュニティ、あるいは私たちの仲間の活動を 「市民科学 」と呼ぶコミュニケーションに出会うかもしれない。

"アースウォッチは、重要な研究を支援するだけでなく、世界市民としての地球規模の責任を理解するよう私たちに促しています。"- E.O. ウィルソン博士(( (社会生物学の分野を発展させたことで知られるアメリカの生物学者博物学者、生態学者、昆虫学者)))

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アースウォッチの歴史(備忘録)

Our History | Earthwatch (左記サイトの仮訳です)

設立までの背景

現代の環境保護運動は、派手な事件ではなく、1 冊の本から始まりました。1962 年、アメリカの生物学者で作家のレイチェル カーソンは、米国における DDT やその他の殺虫剤の過剰使用に注意を喚起する、画期的な著書『沈黙の春』を出版しました。カーソンの魅力的で詩的な文章は、これらの殺虫剤が環境と人間の健康に及ぼす極端な影響を詳細に述べており、国民を魅了し、即座に激しい怒りを呼び起こしました。この論争により、国民の意識が高まり、全米的な草の根の環境保護運動が起こりました。

カーソンの言葉は現代の環境保護運動に火をつけ、最終的には大気浄化法や環境政策法などの主要な国家政策の制定や、環境品質評議会の設立につながりました。1970 年、世界初のアース デーに 2,000 万人のアメリカ人が全米各地で平和的に抗議し、環境規制と説明責任に対する国民の強い要求を浮き彫りにしました。この同じ年、ニクソン大統領は環境保護庁 (EPA) を設立しました。

アースウォッチの設立

1971年、この成長する環境保護運動の勢いに乗って、アースウォッチが設立されました。アースウォッチは、独自の市民科学モデルを通じて、科学的研究と保全を通じて個人が集団行動を起こす力を与えました。世界中の研究拠点で科学者と非科学者をペアにすることで、アースウォッチはユニークなニッチを埋め、あらゆる階層の人々が自然界を研究し保全するための出口を提供しました。

アースウォッチは、その歴史を通じて、この知識の探求を拡大し、新たな環境の脅威に適応し対応してきました。私たちの使命、焦点、価値観は、今日ほど重要になったことはありません。私たちは、地球が最も私たちを必要とするときに、地球を保護するために必要な科学者、ボランティア、リソースを動員できる独自の立場にあります。

アースウォッチは、個人の行動が世界に大規模で倍増的な変化をもたらすことができるという実証済みの信念に基づいて活動しています。

アースウォッチジャパンの歴史(備忘録)

沿革

1971:米国でEarthwatch Institute設立

  • 1993:アースウォッチジャパン設立 難波菊次郎初代理事長
  • 2009.5:都留信也理事長
  • 2012.11:浦辺徹朗理事長
  • 1980 Earthwatch Australia設立(html)
  • 1990 Earthwatch Oxford事務所開設(pps)
  • 2008: Earthwatch India設立(html)
  • Earthwatch Hong Kong

 

参考書籍・文献