横浜国大「環境リスク共生学科」とは

Date: Sat, 9 Feb 2019 16:37:37 +0900

【以下は松田の理解する本学科の説明です。】
 1)「環境リスク共生」とは
 リスク共生の対語はリスクゼロです。本科は,絶対安全が実現不可能な場合に,どうリスクとつきあうかをともに考える環境系の学科です。リスクの汚染者と受損者の関係,異なるリスク同士のトレードオフ,未実証のリスクの扱いなど。

 2)「環境リスク共生」について、私の専門分野では以下のような事象と関連します。
1.脱炭素社会を目指す風力発電と鳥衝突を懸念する反対運動(環境省サイト
2.人を襲い,畑を荒らすクマや野生動物との共存
3.休廃止鉱山の坑廃水処理対策と環境保全
4.乱獲を避けつつ資源の有効利用を目指す漁業管理
5.手つかずの自然を推奨する世界遺産と利用する人間の関係
6.食品中の有害物質リスク

 3)前項について、以下のような具体的な事例に取り組んでいます。
1.あわら北潟風力発電所宗谷岬風力発電所
2.北海道ヒグマ保護管理計画 
3.細倉鉱山
4.クロマグロの漁獲枠配分南茅部漁協),サンマの分離機問題
5.知床世界遺産と漁業の共存
6.福島原発事故後の放射能汚染水産物Mov. from 45th min.

 

東京五輪の水産物。国内産を推奨したい。

Date: Fri, 8 Feb 2019 13:24:41 +0900
SDGs東京五輪の水産品調達から考える水産エコラベルの課題(消費生活研究第20巻1号 -消費生活をめぐる諸問題- 2018)【に】東京五輪の(パラリンピックを八輪と訳してはと思ったのですが,全く支持が広がりません)「持続可能性に配慮した水産物の調達基準」に,国産水産物を優先的に調達と書いてある【】。2月6日のMELワークショップでも,GSSIの方が東京五輪MSC/ASC一辺倒でなくなったことを歓迎する発言をされていたと思います*1
 エコラベルの「乱立」自体は,むしろ欧米では普通のことだと思います。官製の仕組みではないので,それぞれ個性を持って(競合せずに)進めていけばよいと思っています。【】

*1:この行事の一部は、、下記サイトの5’5”あたりからの動画で紹介されています。https://www.melj.jp/news/2019-5-17-tokyo-mxtv。調達基準にかかわらず,実際の調達は仕出し業者の裁量でMSC/ASCになるという噂もあります。それではほとんど輸入品になります。できれば,国産品も調達できるようにしたいと思っています。

2/6 水産物認証MELのワークショップ

Date: 2019年1月21日(月) 13:17
2月6日に「マリン・エコラベル・ジャパン(MEL)ワークショップ 」を開催します(同時通訳付き)。参加者募集中です!行事詳細及び参加申し込みはこちら。まだ満員ではないと思います。(1/24既に満員かもしれません)

―日本発世界に認められる水産エコラベルの課題と挑戦―
マリン・エコラベル・ジャパン(MEL)ワークショップ
日 時: 2019 年 2 月 6 日(水)13:00〜17:00
場 所: 赤坂インターシティコンファレンス 401 号
〒107-0052 東京都港区赤坂 1-8-1 赤坂インターシティ AIR 4F
主 催: 一般社団法人大日本水産会(東京都港区赤坂 1-9-13)
開催趣旨:
2020 年東京オリンピックパラリンピック大会の開催を目前に、同大会での水産物の調達基準の一つとなっている水産エコラベルへの注目が強まっています。また欧米諸国への輸出取引においては、HACCPのみならず、持続可能な水産物であることを証明する認証として水産エコラベルが新たに求められる状況となっており、これらが相まって、水産業界ではエコラベル取得に向けた機運や醸成が非常に高くなっています。
こうした中、マリン・エコラベル・ジャパン(MEL)は、日本発の水産エコラベルとして、2016年12月に(一社)マリン・エコラベル・ジャパン協議会(MEL協議会)のもとで新たに生まれ変わり、昨年9月25日には、MELが国際的に通用するものとなるよう、認証スキームの世界的な信頼性確保と普及を目的としている「世界水産物持続可能性イニシアティブ(GSSI)」から承認を受けるべく申請を行ったと聞いています。
本会では、日本の水産物が世界に向けて、持続可能なものであり環境にも配慮した水産物であることを発信できる大変重要なツールであると考えており、漁業者、養殖業者、加工流通事業者をはじめとする関係事業者の皆様に広くご活用いただけるよう今後ともMELの活動や普及を支援していきたいと考えております。
この度は、その一環として、今春にもGSSIからの承認を目指しているMELが、国内外から受け入れられる日本発の水産エコラベルとして、今後の在り方についてGSSIや各方面の事業者、専門家等の関係者からのご意見を取り入れていくため、上記のワークショップを開催致します。
この開催によりMELが事業者や消費者に更に理解され、より身近な存在となることで、我が国の水産業や魚食文化の持続的な発展へ向け、多くの関係者とともに足並みを揃え今後さらに貢献していけるような契機となることを期待しております。
参加予定者:
・GSSI事務局長、GSSI漁業・養殖専門家
・MEL協議会 会員・アドバイザリーボード
・MEL認証事業者/AEL認証事業者、MEL認証取得予定事業者
・認証機関、MEL審査員
・研究者(東京大学東京海洋大学他)、関係行政(水産庁、各都道府県水産行政機関
他)、NGO、メディア関係者他

マリン・エコラベル・ジャパン(MEL)ワークショップ
プログラム案
時間 内容 講演者
13:00 主催者挨拶 大日本水産会
13:02 開会挨拶 水産庁
13:05 日本にける水産エコラベルの現状、課題、展望 横浜国立大学松田裕之教授
13:20 MELについて MEL協議会
13:35 GSSIについて※ GSSI 事務局長
13:55 質疑応答
14:10 休憩
14:20 MEL認証事業の事例(漁業) MEL認証事業者
14:35 MEL認証事業の事例(養殖) MEL認証事業者
14:50 海外での優良事例(漁業)※ GSSI 漁業専門家
15:10 海外での優良事例(養殖)※ GSSI 養殖専門家
15:30 休憩
15:45 ディスカッション※ 横浜国立大学松田裕之教授
16:30 質疑応答
16:45 総括※ 横浜国立大学松田裕之教授
17:00 閉会 大日本水産会
※同時通訳有
なお、ワークショップ終了後は、出席者による懇親会を以下にて開催する予定にしており
ますので、あわせてご出席下さる様ご案内致します。
日 時: 2019 年 2 月 6 日(水)17:00〜(1 時間程度、ビュッフェ形式(軽食))
場 所: 赤坂インターシティコンファレンス 301 号
〒107-0052 東京都港区赤坂 1-8-1 赤坂インターシティ AIR 3F
会 費: 1,000 円程度を予定
※応募多数の際は事務局にて調整させて頂きます。
以上
ご出席の際は、別紙の返信用紙にてご連絡下さい。

「水産政策の改革について」で資源は増大しない?

Date: Sat, 1 Dec 2018 10:57:35 +0900
片山知史著「水産政策の改革について」で資源は増大しない(アクアネット2018.8月号)の図2に【ある】「45度線」というのは間違いですね。この縦軸が「親世代が生涯を通じて将来に残す次世代の親魚量」(横軸と同じ)ならそれでよいが,1年あたりの加入尾数で,そうではありません。
 図1も不正確ですね。【再生産曲線が】放物線でないといけないのに,原点で傾きが無限大になっている。これなら漁獲努力が過剰でもほとんど絶滅しないでしょう。
 図2のグラフを環境変動を無視して描く人は,今はいないでしょう。みなバラツキの大きな散布図からこの関係を推定している。平衡状態を仮定しというのは古典的なMSYで,MSY自体が進化している。ただし,単一資源から多魚種管理(生態【系】アプローチの一部)に拡張していないし,理論的に拡張することは可能だが,その場合は種の共存を保証しないというのが松田(2018)のMSY批判です。【】古典的MSY論の批判だけなら,学術会議の生態系アプローチ声明だけで十分でしょう。

  • 松田裕之・竹本裕太・森宙久・永野一郎 (2018/10) 資源管理における管理目標の重要性. 月刊海洋 50:450-454.
  • 日本学術会議食料科学委員会水産学分科会提言「わが国における持続可能な水産業のあり方-生態系アプローチに基づく水産資源管理」平成29年(2017年)8月17日

漁業法改正についての陳情

2018年11月30日 12:18:01 JST
漁業法改正について十分な議論がないままに通過することを懸念しています。
既にご存知かもしれませんが下記サ イトをご覧ください。私も彼の意見に賛成です。
漁業調整委員の公選制廃止は今回のメリットでなくデメリットの可能性がある。今回はこの部分は公選制を維持し、3年から5年かけて見直していただければ良いと思います。
よろしくご検討ください。
野党のための漁業法改正入門 勝川俊雄 yahoo news 

漁業法改正について

Date: Wed, 28 Nov 2018 07:17:01 +0900
【】勝川俊雄さんは【Yahooニュースに】意見を出しています。私は,勝川さんの意見に賛成です。【水産資源・漁業 の管理の】あり方検討会が明記したように,漁業権者に説明責任を課す(有効性と適切性を評価する)ことはよいが,IQ制度に沿岸漁業への配慮を明記するのがFAO標準だし,少なくともすぐに公選制を任命制に変える必要はない(非民主化)。
 アクアネット8月号の特集【は,】全体としては守旧派の愚痴になっていますが,加瀬さんが書いたように,共同漁業権自体には(養殖場を切り取られる以外は)影響ないと思っているようだが,この法改正は漁協と区画漁業権を切り離す。参入企業にとっては有利だろうが,公選制度も失われ,沿岸漁業の衰退を招くでしょう。
 もともと,漁業法改正運動自民党【】議員などだが,法案を実際に不眠不休で作ったのは水産庁の役人たち。この法案は,魂【議員】と頭【水産庁】という水と油の合作物。しかし,自民党議員も,後ろから弾を撃つわけにはいかない。野党に修正動議を出してもらいたいところだが,その気配はないですね。
 作文した水産庁は,クロマグロの捕獲枠を追認するIQ制度にしてしまっている。クロマグロ捕獲枠の混乱が日本の漁業全体に及ぶことになる。
 それでも,今までよりはましだと思うかもしれません。沖合に限ってはそうかもしれませんが,これでは欧米よりも沿岸漁業にとってははるかに不利な状況になるでしょう。
 松宮義晴さんが生きていたらどうしただろうか。賛否や注文の付け方はわからないが,喜々として,この問題に全力投入したでしょう。

Date: Wed, 28 Nov 2018 16:20:55 +0900
 一気に公選制を変えるのでなく,まずは沿岸漁業への配慮を明記したIQ導入,有効性と適正性の評価(そのうえで漁協メンバーになったうえでの区画漁業権の企業参入の促進)だけを明記し,調整委員の選び方については,たとえば5年後に見直すという附帯決議を上げるという方法が良いと私は思いました。任命制に変えたら,もう公選制には戻らないでしょう。
Date: Thu, 29 Nov 2018 13:38:09 +0900
【アクアネット】8月号の漁業法特集,参考にさせていただきました。特に田口さんの日本の漁業法の成り立ち,加瀬さんの区画漁業権と漁協の切り離しの問題点,濱本さんの今回の法改正における全漁連の対応は大いに参考になりました。(11月号も拝見)
 ただし,全体としては法改正に反対一色に見えます【】。これらの点は,私とは意見が異なります。拙文を書いてみました【CoFRAME】。濱本さんの主張を引用させていただきました。

漁業法改正問題。あまりに拙速ではないか

Date: Wed, 21 Nov 2018 07:37:31 +0900
漁業法改正案について,現時点で私が感じる論点をまとめて【つつあります】

  1. .あまりに拙速ではないかということ。70年ぶりの改革なのだから,2年くらい検討してもよいのではないか。この法律の作文を誰がしたのか。どうやら,【規制改革を指示した学者】すらあまり文案作成に関与していないようです。内閣法制局はどうなのか。水産庁の資源管理課は,【】IQ制度がよいと思っていない。そのような人に作らせても,うまく機能しないことは明白でしょう。
  2. .ふつう,法律というのは,いろいろ将来起こることを想定して対処を考えるものだと思うが,現在起きているクロマグロ問題にも対応できないように見えること。(沖合に)IQを入れるのはよいが,配分方法がこれでは過去の実績の割合に応じると読めます。沿岸に配慮するとどこに書いてあるのか。ITQにできないのはよいとしても,融通もできないようでは,現在クロマグロで検討している政策すらも入っていないように見えます。
  3. .現行法の「民主化」を捨て去ってしまっているように見える。現在の漁業調整委員公選制は機能しているのでしょうか。そこも知りたいです。

Date: Wed, 21 Nov 2018 16:17:26 +0900
 漁業法改正案,かなり突貫工事で作ったみたいですね。(水産庁資源管理課の残業は過労死状態)

  1. しかし,あまりにも拙速で,「抵抗勢力」(例えば野党からは非民主的等)だけでなく,「改革派」からも不満の声(水産庁に作られてしまった)が私には聞こえています。
  2. 皆さんすぐにできないと楽観しているかもしれませんが,そうとは限りません。【】
  3. 法の目的に持続可能性を明記すること,沖合漁業にIQを導入すること,知事が漁場管理計画を定め,漁業権を持つ業者に説明責任を課すことは,大変よいことだと私は思いました。
  4. 他方,IQの割り当てを過去の実績の比例配分にする(これでは,クロマグロの沿岸と同じことが起きる),【】現在の沿岸クロマグロ漁業の悲劇がさらに繰り返される構図になっているように思いました。(松田のBlog参照)
  5. 漁業調整委員会の公選制をなくす法案のようですが,もともと機能しているのでしょうか。水産政策審議会で沿岸漁民が少ないのは,似たような公選制があるのでしょうか。

 よろしくお願いします。