Adaptive Dynamicsと種分化論争

On Jan 12, 2007, at 9:26 AM, Hiroyuki MATSUDA wrote:

現在、Adaptive dynamics theory学派(ウィーン学派?)、あるいは進化ゲーム理論陣営による種分化理論をめぐって、集団遺伝学者の陣営から(私見では、多くは誤解にもとづく)さまざまな批判が行われていて、批判を集めた雑誌の特集号まで発行されるほど注目されています。これらの「批判の検討」を柱のひとつとして、種分化あるいはもうすこし広く進化動態に関する講演を組織してシンポジウムを組むというのもひとつのアイデアです。

 ○○さんの上記の投書、興味深く拝読。最近全然フォローしていません。これ(種分化理論論争)はBio-math全体に投げてもよいのでは?あるいは、英語でUlf Dieckmann, Hans Metz, Peter Abrams, Steve Ellnerあたりも入れて議論してもよいと思います。種分化理論は面白いけれど、どれだけ実証されているのですか?サンノゼで批判勢力も入れてセッションを企画してみますか?
 そういえば、Peter AbramsにAdaptive Dynamics(ウィーン学派)の感想を聞いていない。彼は種分化理論の支持者か?いずれにしても、【日米合同数理生物学会サンノゼ大会に】声をかけたらいかが?遠くたってくるかもしれない。
 【Adaptive Dynamics学派は、たしかに私やPeter Abramsのやったことを後追いした面があると思います。しかし、Ulfも最近は私たちをきちんと引用しています。しかし、種分化理論は私は全くやっていない。】

社会の協力の進化

Date: Sat, 27 May 2006 10:13:55 +0900
○○様
下記【論文*1】、感謝。 これって、要するに群淘汰だということですよね。ただし、社会同士の競争ではなく、個人がどちらの社会に属することを選ぶかという問題に置き換えている。
 やはり、協力の進化は群淘汰でしか説明できなかったのかという感想をもちました。
Date: Sun, 28 May 2006 07:41:34 +0900
○○さん、皆さん 
 【】お返事、たいへん興味深く思いました。なるほど、群淘汰は現在のファッションで、論文もそれに合わせないと認められにくいというわけか。Gurerk et al, Science2006の論文を注意深く読めば、「社会を選ぶ」という個人行為【による社会の協力の進化】が可能ならば、それは群淘汰ではないかもしれません。
 たしかに、【ご指摘どおり、環境問題などで】望ましい解を探す厚生経済学ゲーム理論によって何が実現するかという議論の乖離は、合意形成上も重要です。環境科学で「合意形成」を語るものが、ほとんどゲーム理論を引用していないようにも見えます(共有地の悲劇は、まさにゲーム理論のはずですが)。
 うちの小谷君は経済学も実験ゲーム理論も両方やっていますので、そのうち何か思いついてくれるでしょう。今後ともご指導宜しくお願いします。

*1:Gürerk Ö, Irlenbusch B, Rockenbach B (2006) The Competitive Advantage of Sanctioning Institutions. Science 312: 108-111

Ulf Dieckmannに感謝

Date: Mon, 1 May 2006 23:46:25 +0900
数理生物学会福岡大会 大会準備委員会各位
たいへん遅くなってごめんなさい。下記を申請します。予定講演者には、まだ了解を得ていません。近日中に調整し、変更するかもしれません。*1
Sustainable harvesting of natural resources: its evolutionary and community aspects「自然資源の持続的利用:その進化的、群集生態学的側面」
【プログラム最終案ができたので、こちらをご覧ください】
企画趣旨:漁業では乱獲が問題になっているが、それだけ強い漁獲圧をかければ、魚の生活史や行動も適応的に変化するだろう。また、群集内の相互作用は複雑であり、天敵を減らしたり餌を増やせば資源が増えるとは限らない。これらの要因を数理モデルで解析した諸研究を紹介し、相互討論する。

Date: Tue, 2 May 2006 11:19:47 +0900
○○様 c○○様、○○様
 添付企画へのご快諾、ありがとうございます。持つべきものは弟子たちです。(追加の韓国人講演者を問い合わせ中です。私の演題は鹿に変えました)
 今、つくばに週1日通っていて、今日もつくばです。今日から○○さんもPDで隣の環境研にいるはずですが、今日顔出してもまだ立て込んでいるかな?Ulf Dieckmannがとても私を持ち上げる総説を書いてくれました(まだ読んでいない)。以前、Ulfに君のやったことは私が昔からやっていることだといって別刷りを送ったことがありましたが、どうやら即座に反応してこの総説を書いてくれたようです。
Dieckmann U & Ferriere R (2004). Adaptive Dynamics and Evolving Biodiversity. In: Evolutionary Conservation Biology, eds. Ferriere R, Dieckmann U & Couvet D, pp. 188-224. Cambridge University Press.
下記にあります。(本を全部載せていいの?)それにしてもUlfの活躍はすごい。HeinoやGodoとも本を書いていたのか。知らなかった。
http://www.iiasa.ac.at/~dieckman/reprints/DieckmannFerriere2004.pdf 
 新婚のあなたは連休を堪能してください。私は仕事です。

*1:韓国人の講演候補者を募集中です。私以外の講演者は確定ですが、韓国側講演者次第で企画変更の可能性があります。

ジェイコム株事件と進化理論から見た「モラル」

Date: Wed, 8 Mar 2006 19:11:59 +0900
皆様 【】札幌より松田裕之です
 【中略】なお、ついでながら、下記の原稿をバイオニクスという雑誌に書きましたので、紹介します(未刊行のゲラにつき、この場限り)。これまた価値観もろ出しと思われるかもしれませんが。【】
中丸麻由子・松田裕之(2006)進化理論からみた「モラル」とは? バイオニクス2006年4月号58-64 
昨年末に話題となったジェイコム株事件では,企業のモラルが問題となった。ここでは,“進化理論”を援用して,人間の本質を見極めつつモラルとは何かを再確認し,なぜ人はモラルを守ろうとし,モラル違反者への制裁を望むのかを考える材料を提供したい。そして,人には反モラル的な行動をする傾向もあることを示しながら,「モラル」は生物進化の過程で人が獲得したものであることを紹介する。

Date: Wed, 8 Mar 2006 22:21:20 +0900
松田裕之様      3月8日
中丸麻由子さんとの解説論文で、私と大槻久君との仕事を引用してくださってありがとうございます。ただし、内容についてですが細かいことですが、ひとつ気になることがあります。
文章の中で、高い協力の進化を維持することができる評判のつけかたについて
[1]評判の高い相手に協力すると自分も評判がよくなる。
[2]評判の高い相手を裏切ると、自分の評判がわるくなる。
これは正しいのですが、そのつぎに
[3]評判の悪い個体に対して非協力的に振るまうと評判がよくなる、
とありますが、この[3]は不正確です。正確には
[3]本人の評判が高いときに、評判の悪い個体に対して非協力にふるまっても評判はよいままである。
がただしいのです。
細かい話に思われるかもしれませんが、私たちにとっては、これは小さな違いではありません。【】
 つまり、本人の評判が悪いときに、評判の悪い個体に対して非協力にふるまったら、評判がよくなる場合も悪いままの場合もともに、高い協力を維持するルールになります。
私と大槻久君による間接互恵によって高い協力を引き出すことができるすべてのルールを網羅的に探すという計算結果によると、実は、4096通りの中で、8つのルールだけが高い協力レベルを維持できます。
 その中のたとえばStandingという戦略では、「本人が評判が悪いときには、評判の悪い他の個体に対しても協力をすべきで、そのことで、自分の評判を改善できる」というものになっています。これに対して、「本人が評判が悪いときには、評判の悪い他の個体への協力を拒否することで評判を改善できる」というルールもあり、それは東大理論経済の神取さんが徹底的に調べたものですし、また北大の高橋グループが想定しているものです。これらのルールはそれぞれに高い協力レベルを維持することができるものです。
高い協力レベルを引き出すことができる社会規範にはいくつかのタイプがあります。それらの間で共通した面もありますが、違っている面もあります。共通した面は脳の中に心理的に組み込まれている可能性が高いですが、社会によってグループによって違った規範に従わないといけない場合もあるわけで、それは学習によるのではないか、と私は推測しています。
巌佐 庸
Date: Wed, 8 Mar 2006 22:54:16 +0900
巌佐様 皆様 中丸様 【上記】、感謝。今日 ゲラ締め切りです。今から駆け込みまにあうか。 松田