松永澄夫編『環境:安全という価値は・・・』東信堂 という本を出しました。去年東大文学部哲学で行った多分野交流演習をまとめたもので、私は 松田裕之(2005) 環境リスクとどうつきあうか? クマとの共存などを例に. P137-166 という部分を執筆しました。その中で私は以下のように書きました。
生物には細胞の核が持つ遺伝子と,ミトコンドリアなどの細胞質が持つ遺伝子がある.後者は母親から子どもに受け継がれる.核遺伝子は,両親から均等に受け継がれる.哺乳類のようにXY型性決定の場合,雌では二つのX染色体を父母から一つずつ受け継ぎ,雄ではXは母,Yは父から受け継ぐ.史書によれば,かつて何人かの女帝がいたが,女帝の子が皇位を継いだことはない.だから,皇族に父親のすり替えがなかったとすれば,Y染色体は昔の天皇から現在の天皇まで受け継がれているはずである.その「伝統」は,もうすぐ崩れるかもしれない.
この本には,中西準子さんを訴えている原告代理弁護人である中下裕子さんも執筆しています。他にも経済学者の金子勝さん、鬼頭秀一さんなどが参加し、上記の本に執筆しています。
鬼頭さんもゼロリスクはありえないところから議論し、彼の社会的リンク論を展開しています。最後に、鬼頭さんは彼の中西批判を再批判した加藤尚武さんへの反論を寄せています(この部分は演習にはなかった)。この中西リスク論をめぐる加藤−鬼頭論争については、別の機会に紹介します。
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