GM作物に関する議論

Date: Tue, 31 Jan 2006 13:43:48 +1200
○○様 皆様 原稿拝見しました。
 リスク評価の観点から私なりの意見を申しますが、ご自由にご判断ください。
 私はGM作物を導入するかどうかは生態リスクの問題とは別に判断すべきだと思います。その意味では、日本の農業政策への長期展望を欠いたままの導入には賛成できません。しかし、GM作物を中立遺伝子の汚染の観点から「慎重な対応」を求めるというのは、私は難しいと思います。拝読しても、生態系にどのような害が及ぶ可能性があるかがわかりません。そのリスクの多寡以前の問題として、「中立遺伝子の浸透【自体が「避けるべき事態」(リスクのエンドポイント)】である」という認識が社会的に合意できないと思います。その結果何がおきえるのかが、この原稿を読んでも十分説明されていないと思います。
追加: もし本当に毎世代 近隣野生集団の遺伝子頻度に3%ずつのGM遺伝子の流出が起きるならば、これは余りに管理がずさんだと思います。低い頻度で流出する恐れがあるから、そのハザードが何かわからなくても反対だといわれても社会の合意は得られないでしょうが、それほど流出が激しいならば、たしかに問題でしょう。流出率はもっとずっと低くなるよう管理すべきです。GM作物の農場と近縁種の野生作物の農場を分けるなどの配慮は米国でも指摘されていると思います。米国産牛肉の背骨だって、別にBSE感染牛の背骨が流出したわけではなく、それだけではリスクはありません。しかし、背骨の混入も見抜けないずさんな管理では禁輸は当然だと思います。万全を期していてなお起こる事故のリスクをすべて避けろとは言いませんが、常態化している流出は問題です。