Date: Fri, 28 Apr 2006 09:46:31 +0900
研究室の皆さん
昨日の全体ゼミで、一ついい忘れたことがあるので、発言します。
TBT【船底塗料に使ったトリブチルスズ】はもう十分低い濃度で、今後ますます減るから、大丈夫ではないかというような意見がありました。
【濃度が低くなってきたの】はたいへんよいことです。いつまでも濃度が高ければ、研究者の仕事は続きますが、自慢できることではない。TBTは甚大な生態影響が指摘され、原因が解明され、対策がとられて解決しつつある成功例だと思います。まだ完結していませんから、最後まできちんと研究して、歴史に教訓を遺す【成果とす】べき課題だと思います。
私は1998年からエゾシカ管理を始めて、3年で終わると【答弁していたが、】いまだに終わりません。これは恥なのです。【2001年頃、鹿個体数が減少に転じたのを見て「成功のめどが立った」などと私は発言していましたが、詰めが甘かったと反省しています。】
社会問題は、研究者が課題と研究費をもらうためにあるのではありません。解決して、次の課題を見つけることが重要です。 特に、基礎研究で育った私から見れば、自分が貢献できる社会的問題があれば対処すべく努力しますが、それがなくなっても、面白い自然現象はたくさんありますから、研究課題に困ることはありません。無理に社会問題を作ることはないのです。