生態学会長のページ「ゴルフ場」 感想

Date: Fri, 30 Mar 2007 20:23:22 +0900 (JST)
 菊澤生態学会長のページ(最初は「会長な日々」といういい題名だった)に今年の生態学会での「開発につける薬」のセッションの紹介が載っている。私はこのセッションにでたことがない。生態学者が開発側に薬をつける医者の立場という言い方が首をかしげる。そもそも、医学というのは患いの自覚症状のある人に対して治療を施すのであって、勝手に「敵」に薬をつけるのは医学を知らない発想だ。今年のセッションではゴルフ場が槍玉に上がり、討論のなかで「ゴルフ場など無くったって生きていける」という意見がでたことに、菊澤会長は「確かにそのとおりだなと思いつつも、いささかゴーマンな意見ではあるな、と、思った」そうである。
里山がみなゴルフ場になってしまう社会は困った社会だとおもうが、ゴルフの出来ない社会が幸せであるとは思えない」という指摘には全く同感だ。上記のような意見が出る場が、果たして学会のシンポジウムに相応しいのだろうか。夜行う自由集会ならいざ知らず、とても学問的な議論とは思えない。
 今年の自由集会には、学問的水準の高い、新たな息吹を感じるものも多々あった。シンポジウムにしてもっと大勢の人を集めないともったいない。また、「微生物群集の不均一性」のシンポジウムはとても面白かった。発表者の多様性は発展途上だったが、大勢詰め掛けた会場からの質問が多様で、若々しかった。この分野はこれから大いに発展すると思う(ただ、ブルーギルの多型がすべて適応現象だという説明は半信半疑だった。手を挙げたけど質問できずに残念)。例年よりシンポジウムが少なかったが、おかげでこの「マイナーな」分野でも聴衆が集まったのはよかったと思う。