Date: Mon, 3 Sep 2007 08:37:50 +0900
【】遠洋、沖合漁業については新たな枠組みが必要だと思いますが、沿岸の漁業権をつぶすとなると、大混乱になるでしょう。【】
環境保護も自由主義(自由貿易、自由参入)も今世紀の大きな流れですが、両者は同じベクトルではありません。それは主要な環境団体のWTOでの活動を見てもわかります。温暖化における排出権取引も定着するかどうか私は疑問です。京都議定書の数値目標が日本を含む一部の国で破綻することはすでに自明です。それでも排出権取引市場はいったんはできるでしょう。環境経済学者ヒールは排出権取引市場が温室効果ガス排出削減のインセンティヴになるとして評価していますが、公平性という根本的な部分で大きな弱点を抱えています。それは漁獲割当量制度も同じことです。逆説的にいえば、漁業権制度を維持すれば、漁獲割当量もその取引(ITQ)も、論理的には正統化できると私は思います。
単なる自由化は、海面開発を促進する上では大いにプラスでしょうが、海洋生態系を守る上では、むしろマイナスだと思います。海洋基本法という新たな枠組みで、環境保護という側面を生かすかどうかが問われているのだと思います。英米法のまねをすればよいというものではなく、むしろ、世界に新たな法制度を提案することが求められているのだと思います。