カワウ駆除に関する意見

Date: Mon, 15 Nov 2010 09:46:09 +0900
 竹生島は現在は確かに糞害で自然植生が壊滅的ですが、歴史的にカワウのコロニーだったと聞いています。ほかの生態学者は竹生島から追い出そうという意見もありますが、別の場所(喫緊の課題としては対岸の葛篭尾崎)に問題を移転するだけで、解決にはならないと思います。
 シカも、以前は激減し、長らく保護してきました。保護の成果として現在は回復しました。しかし、今度は増えすぎて農林業被害と自然植生への食害が深刻です。それは6000年前の鬼界カルデラの大噴火で生態系が激変してから回復し、歴史的にオオカミなどの天敵のいない屋久島でも同様です。むしろ、6000年間シカを狩猟していたバランスが崩れたと、屋久世界遺産科学委員会では議論されています(もちろん、林業の衰退などの要因も指摘されています)。長らく捕獲に反対する世論が強かったですが、今では捕獲と利用への理解がかなり広まりました。
 カワウの自然植生への被害はシカと違い、コロニーに限定されるかもしれませんが、漁業被害は広域に及び、餌がある限り、コロニーも次々に増えています。
 今は、いわゆる限界集落だけでなく、地方都市の市街地でも野生哺乳類が出没し、農林業被害を起こし、人間が野生動物に「負け始めて」います。一方では野生鳥獣を保護する立場の行政が、他方では全国の中山間地の鳥獣害対策を税金のみで行うことは限界が来ています。昨日東京農工大学で開かれた生態系管理を考える研討会で、結局は、その地域で農林漁業と狩猟採集の活動を再開し、行政の取り組みとともに、地域自身で人間活動を守るしかないという議論になりました。
 半世紀前までカワウの糞を利用していたという愛知県が、それを理由に滋賀県からの捕獲協力の要請を断ったという報道をうかがい、捕獲協力だけでなく、循環型社会の旗手である愛知県に、カワウの糞を利用する取り組みを再開していただきたいと期待します。糞に多く含まれるリンは早晩足りなくなる元素です。

Date: Tue, 16 Nov 2010 07:34:58 +0900
【】米国の動物学教室などでは、かなりの比率で菜食主義の学生がいます。しかし、私の世代の生態学者には、私の知る菜食主義者は一人だけで、他の人は平均的日本人よりもずっと肉を食べます。何事も、極端から別の極端に行くだけが能ではないと思います。
 シカのときも、狩猟で管理できると思うのは人間(科学)の傲慢だと言う意見がありました。実際、シカの管理はうまく行っていません。しかし、シカを放置すべきだと言う意見は、現在ではほとんど聞かれなくなりました。
 その意味では、利用するのが一番です。うまく行くいかないにかかわらず、獲ったものは自然の恵みになります。カワウも食べてみて、食べられるといった人がいます。(さすがに、おいしいとは言わなかった)しかし、主要な利用方法は糞でしょう。利用していれば、単なる害獣ではなく、人間にとって望ましい個体
数も多めに見積もられるはずです。
 カワウを鵜飼に利用すると言うご意見、参考になります。以下のサイトを見つけました。 
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q148585699