韓国の水産物輸入禁止問題

Date: Wed, 15 May 2019 14:35:14 +0900

韓国の水産物輸入禁止問題でのWTO報告書に関する意見を書きました。【】詳しい該当箇所は載せておりませんが,WTO報告書のうち,私が注目したのは下記のような段落です。

上級審報告書

  • 福島事故による放射能汚染が一時的には全球的に検出され,局所的には今なお比較的高い濃度であること(上級審報告書6.3段落)
  • 韓国では「合理的に実現可能な限り低い水準(ALARA)」など複数の「衛生植物検疫上の適切な衛生健康保護水準(ALOP)」があること(上級審報告書6.2段落)
  • 今回の上級審でも,韓国側の説明が不十分であったという日本側の指摘は認められている(上級審報告書6.9、6.10段落)
  • 韓国の食品安全基準でも,放射性セシウムの許容限度は100Bq/kgで,これは日本と同じである(上級審報告書5.15段落)
  • 上級審報告書(6.2段落)によると,「パネルは、日本の代替措置が韓国の上記3つのALOPのすべてを満たすかどうかは不明と結論づけた」。
  • 今回の原発事故のような特定の汚染物質の放出によって食品汚染が全球的に加算され、さらに局所的に増大する可能性があることをパネルは示唆している(上級審報告書5.75段落)
  • このような地理的条件を考慮しなかったのはSPS協定の誤用であるとし、やはりパネルの裁定を覆した(上級審報告書6.3段落)

パネル報告

  • パネル報告(7.248,7.250段落)でも,これでは直接調べたことにならないことは認めているが,日本と韓国の食生活の相違を考慮してもなお、さらに水産物をすべて日本産にしてもなお(同7.233、7.236段落)、日本の上記のやり方でも年間1mSV以下というALOPを満たすとした(同7.251段落)
  • 福島事故に由来しないカリウム40のほうが主たる食品からの汚染源であること,医療行為や飛行機旅行での曝露と比較すべきことはパネル報告書 (2.2段落)に言及されている。