辺野古のアジサシ類について

Date: Sun, 9 Jun 2019 11:05:45 +0900

以下の記事にあるアジサシ「類」の繁殖場の件
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/426606 沖縄タイムス6/1見出し「準絶滅危惧種アジサシの繁殖地 沖縄防衛局が営巣防止ネット 辺野古の新基地建設現場 市民ら批判「巣作り奪う」」(冒頭しか読めないが)

 このような対応は,下記のアジサシ類への事後調査に沿って進めているはずです。工事【の】影響をすべて回避するとは書いていないと思いますが、むしろ工事関係者も繁殖期に近づかないように注意すると書いてあります。ネットをかけるような場合は,専門家の助言を得て進めるはずです。*1

 アジサシ類へのパブコメ対応を以下に3つ示します(ほかにもある)。最後の(3)は個体群の存続というもので、生息地がなくなることは認めている(②)。(2)は繁殖場所に対して工事関係者が配慮するということですね(③、つまり配慮を追加した)。(1コ)についてだが、事後調査p.8-13に書いてあるのは個体数が減ったら対応するというもの(これは繁殖場を減らさないということではない)、p.8-14は騒音調査の内容、p.8-15~17は結局は個体数が減らないようにすると読めますが、必要な対応は専門家と相談すると読めます。

 (報道では准絶滅危惧のアジサシとありますが)たとえばコアジサシとすれば環境省では絶滅危惧II類です。新聞記事見出しとその写真を見る限り、アジサシ類自身の営巣を防止しているように見えます。繁殖が天敵等によって自然に失敗させるのまで防げということはないが、営巣場所にネットをかけるという「保全措置」は聞いたことがありません。下記の環境省保全・配慮指針にもそのような記述はないと思います。

******補正書の記述********************
https://www.mod.go.jp/rdb/okinawa/07oshirase/chotatsu/hyoukasyohosei/hyoukasyohosei.html に補正書の一覧があります。
https://www.mod.go.jp/rdb/okinawa/07oshirase/chotatsu/hyoukasyohosei/160.pdf
 このp.6-19-2-2に地図があります。
https://www.mod.go.jp/rdb/okinawa/07oshirase/chotatsu/hyoukasyohosei/161.pdf
が補正書のアジサシ類部分(9-1章)。知事意見等への対応が以下(12章)
https://www.mod.go.jp/rdb/okinawa/07oshirase/chotatsu/hyoukasyohosei/192.pdf ちなみに解答欄の右側の数字は①は説明を加筆する、②は追加調査を行う、③は保全措置を追加する、④は今後事後調査で対応するというもの(p.12-2)
 そこに記載されている事後調査の内容は以下の8章です。
https://www.mod.go.jp/rdb/okinawa/07oshirase/chotatsu/hyoukasyohosei/188.pdf

知事意見→その対応 (P.12-2-72)
(1)コ 注目すべき種の予測時期について、「主に繁殖期を考慮した予測を行うことについて評価書に記載した」としているが、繁殖期をどのように考慮して予測したかが記載されておらず、また、出産・育児期については予測・評価されていない。→①④予測にあたり、繁殖期には、交尾期~出産・育児期、放仔時期、つがい形成期、巣外育雛期等を含むことを記載しました。(p.6-19-2-101 参照)また、繁殖に対する影響については、事後調査で対応する旨を記載しました。(p.8-13、14、17~21 参照)

(2) アジサシ類については、繁殖状況に変化が生じる可能性があることから、同種に対する環境保全措置として、繁殖時期に平島・長島への上陸を極力避けるよう周知に努めるとしているが、「周知」がどの程度の実効性を持つか不明である。→③周知を行う項目については、工事関係者等が環境保全措置を理解し実施するよう十分に調整を行い、周知を徹底します。また、立ち入り制限距離が分かりやすいように該当距離をロープや海上ブイの設置により示す旨を記載しました。(p.6-19-2-263、264 参照)

(3) アジサシとシロチドリの生息地に対する直接的影響の予測について、工事の実施により両種の生息地の一部が消失するが、生息地と同様の環境(安部崎~バン崎間)が存在すること等から、生息地に生じる変化は小さいと予測しているが、両種が同様な生息地へ移動すること、移動した場合の移動先での生態系に対する予測・評価を行う必要がある。→②平成24 年度の5~8 月に行われた調査で、アジサシ類は安部崎から天仁屋崎間、シロチドリは安部崎からバン崎間の範囲において、採餌や休息が確認されていることを記載しました。(p.6-19-2-122、125、p.6-19-2-132、134 参照)これらの移動先における生態系に対する影響について記載しました。(p.6-19-2-174 参照)

https://www.env.go.jp/press/files/jp/110615.pdf 環境省レッドリスト
https://www.env.go.jp/nature/yasei/raptores/protection/guide_h2603-1.pdf 環境省 コアジサシ繁殖地の保全・配慮指針

 

*1:私は委員をやめておりますので,現状についての詳細は存じません