東大文学部 演習レポートを読んで

Date: Sat, 21 Jan 2006 12:08:40 +0900*1
○○さん レポート拝読。勉強になりました。特に、 安心 と 信頼 の違いを学びました。【お許しいただいたので、あなたのレポートを私のサイトに掲載させていただきました。】
 差し支えなければ、山岸俊男さんに転送したいと思います。【】モラルは信頼であり,悪行に悪評をたてて防ぐのは安心という視点ですね【不正確ならごめんなさい】。山岸俊男さん「安心社会から信頼社会へ 日本型システムの行方」(1999中公新書)が【日本の恥の文化が「安心」を求めるものなのに対し、今後は「信頼」を重視すべきであると指摘されているのですね。】
 なお、最近ではゲーム理論においても「モラル」の重要性が指摘されていると思います。そこでは、モラルが必要なのは善悪自体の議論ではなく,社会がうまく機能するという視点で議論されています。つまり、その意味ではあなたの言う「安心」を機能させるための因子として,モラルをゲーム理論で扱っていると私は思います。もともと、生物の適応もそうです。生き残るもの、進化したものが「良い」という価値観は(本来は)そこには含まれていません。EOウィルソンあたりになるとそれは怪しいですが。【】 モラル【の必要性】を説いた私が言うのもなんですが,本当に環境問題で必要なのは,上記の区分で言う「安心」ではなく、「信頼」なのでしょうか?
[D107] 松田裕之・木村紀雄(訳) (2002) フェアプレーの経済学(Sigmund K, Nowak MA, Fehr E. The economics of fair play. Scientific American)日経サイエンス. 32(4):78-85 .
J12松田裕之(2004) SAレヴィン「持続不可能性」, 北海道新聞 2004年1月4日17面(この本では、Build trustを重視しています)
 いずれにしても、たいへん勉強になりました。ありがとうございます。上記を読んで、私が山岸理論を理解していないと思われる部分がありましたら、ご意見歓迎です。

*1:1.22一部改変