2019-01-01から1年間の記事一覧

三春ダム研究論文集

応用生態工学研究所の浅見さんと沖津さんから「三春ダム研究論文集」を頂いた。ダムの事後調査などをこのように58編の論文の形に残すことは、環境影響評価のあるべき姿と思います。 論文集目次の一部 論文集表紙

Future Earth 日本サミットでの議論

「野生動物の殺傷を減らす」べきかどうかについての論点を私なりに説明します。 生物多様性条約の3原則は、①生物の多様性の保全 ②生物資源の持続可能な利用 ③遺伝資源の利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分です。 野生動物も生物資源であり、その持続的…

第2回MEL協議会ワークショップ 座長コメント

第2回マリン・エコラベル・ジャパン協議会ワークショップ「世界で輝く日本の水産物を目指して」MEL公式サイト 座長コメント(横浜国立大学 環境情報研究院 自然環境と情報部門 教授 松田 裕之) 1. 我が国の豊かな自然や文化、産業の多様性に資する独自のエ…

ヒグマとの共存:「仲間」でなく「恐れあうことで初めて共存できる」

松田Twitter 2019.12.6ヒグマとどう共生するか:北海道新聞 どうしん電子版 「人とクマは仲間として共存」クマの駆除に反対する人の共通認識のようだ。結局、それが人を恐れないクマとクマを恐れない人を作り出してきた。 Twitter2019.12.6 知床のクマを追い…

朝日『論座』イルカショーと伊豆半島ジオパーク

標記拙文の補足です。 JAZAも追い込み漁で生け捕りにした野生個体を利用しないという提案を受け入れた https://www.jaza.jp/statement 日本のいくつかの水族館がJAZAから脱退した(朝日新聞2017年4月3日 ) https://www.asahi.com/articles/ASK435TK1K43TIPE…

伊豆半島イルカ漁再開問題

Date: Tue, 12 Nov 2019 11:53:17 +0900 ある捕鯨学者によると… 漁業としての追い込み漁は、大群を狭い港や入り江に一気に追い込むため、群れがパニックを起こして、実際の捕獲(水揚げ)頭数以上に動物が死んでいる、非捕獲個体を後から放獣してもストレス…

市民のクラウド資金の海洋放射能汚染調査が安心をもたらす。

2019年3月29日 · Facebook 全国行脚中のウッズホール海洋研究所のKen Buesseler博士の東大での公開講演会「Fukushima‐ a view from the ocean」を聞く。大いに参考になった。(1)原発事故後の放射線汚染レベルが下がっていることを述べるが、しっかり数字…

北海道ヒグマ保護管理検討会への意見

【】質問があります。 クマは個体数が減っても、問題個体は対応せざるを得ない。その点でシカの個体群管理と異なる点はよくわかります。しかし、個体数が増えたときに、個体数調整をすべきではない(シカと事情が異なる)という論拠は何がありますか(社会が…

鹿の「食害」の良しあしも、クマとの共存方法も、個体数次第

Date: Fri, 11 Oct 2019 10:35:59 +0900 Facebook シカの保護管理検討会として丹沢山を見せていただいた。以前は1枚目のような裸地が至る所にあったが,かなり植被率が改善していると感じた(丹沢全体がそうではない)。2枚目の堂平沢の堰堤がある沢も完全…

一部の風車に集中するオジロワシ衝突事例

午前10:01 · 2019年9月28日 Twitter オジロワシがよくあたる風車は集中している。この度、苫前町の風車3基が撤去された(苫前町)。この施設の3基の風車だけで2015年までの発見死骸45羽のうち16羽以上が当たっている。撤去までに時間がかかったが、過去の経…

マサバ太平洋系群はいまだに乱獲されている?

Date: Tue, 24 Sep 2019 12:32:03 +0900*1 各魚種系群のMSYやABCを算出する際に用いる汎用genericモデルというのが少々機械的すぎるのではないかと思います。それが「科学的」とはいえません。少なくとも,マサバの場合は減少期のRPSを除いて1991年以後のデ…

漁民の顔を見ずに計算するのが、「科学のみに根差す」資源管理ではない

Date: Thu, 5 Sep 2019 10:54:57 +0900 【】水研の資源評価とABC新ルールに関しては、水産庁が研究機関(水研)の独立性を尊重する。各魚種のTAC化の是非や資源評価の施策展開については行政マターなので水研はかかわらない。逆に、資源評価については水研主導…

市街地でヒグマ捕殺がやむを得ない理由

Date: Fri, 16 Aug 2019 05:48:18 +0900(一部改変) クマに出会わないために市民ができることは,札幌市のサイトが参考になります。 今回のように農作物を荒らすクマが頻繁に札幌市街地に出没した場合,クマへの対策が必要というのは多くの方に理解されるだ…

北海道ヒグマ保護管理検討会における松田の発言

平成30年度 北海道ヒグマ保護管理検討会 議事概要(案) 日時:平成31年3月14日(木) 標記検討会での松田の発言の一部を紹介します(道庁サイト)。 ・(P13)むしろ、まだ【クマの】資源価値が生じていない段階で今後の利用も含めた計画をしっかり練…

クマも個体数調整が必要では

Date: Mon, 15 Jul 2019 16:22:53 +0900 皆様,我々がスコラ論議を重ねている間に,事態はどんどん切迫しているように見えますが,皆さんはそうは考えていないのでしょうか。 札幌市は政令指定都市ですから,独自の判断を下すこともあると思いますが,それ以…

Adaptive management の訳語について

Date: Thu, 11 Jul 2019 15:39:25 +0900 【Adaptationの訳語は生物学でも統一されていない】 Adaptive Manamgenet(以下AM)を順応的管理と訳す件【矢原徹一さんのBlogでは「適応的」】ですが、実は生物学用語でもdark adaptationは暗順応と訳されていると思い…

知床世界遺産シカ・クマWGへの意見

WGの皆様 今回、羅臼側の植生が一定の回復を見せているという声が多く聞かれました。シカの密度操作実験を主張した者として感無量です。当時は、シカを獲らないという選択肢も大いにあり得ました。どちらがよいとは言えませんが、運命は大きく違っていたと思…

8/9 公開講座「リスクと生きる:環境リスク学入門」のおしらせ

詳細はこちら。講義内容へのご希望、ご質問はこのBlogのコメント欄に書き込んでください。 横浜国立大学教授 場所 横浜国立大学教育文化ホール 8月9日10:30-17:00 10:30-11:50 ②風力発電と鳥への影響 ⑥風力発電と環境影響評価 13:00-13:45 ①気候変動と共有…

気候変動対策より国立公園の景観が優先される環境省の政策

Date: Fri, 14 Jun 2019 09:48:18 +0900 2015年の宇久島風力発電事業の環境大臣意見,大いに参考になりました。 本当に世界文化遺産の登録に支障がありえるかは【わかりませんが】,さすがに世界文化遺産からの景観を理由に取りやめとは言っていません(調べ…

辺野古のアジサシ類について

Date: Sun, 9 Jun 2019 11:05:45 +0900 以下の記事にあるアジサシ「類」の繁殖場の件https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/426606 沖縄タイムス6/1見出し「準絶滅危惧種アジサシの繁殖地 沖縄防衛局が営巣防止ネット 辺野古の新基地建設現場 市民ら批…

5/8 気候変動シンポジウム アンケート回答のお礼

Date: Thu, 6 Jun 2019 17:18:38 +0900 5/8一般公開シンポジウム「気候変動影響研究と対策の最前線」の際の【アンケート結果】集計ありがとうございます。回答案です ○松田「気候変動対策と自然保護は両立するか?」宛のメッセージQ:ブルーカーボン生態系に…

書評 ネコの放し飼いの是非「ネコ・かわいい殺し屋-生態系への影響を科学する」

Peter P. Marra・Chris Santella原著 岡奈理子・山田文雄・塩野﨑和美・石井信夫訳(2019)「ネコ・かわいい殺し屋-生態系への影響を科学する」築地書館 定価2592円 イエネコは「世界の侵略的外来種ワースト100」に入る外来捕食者である(本書35頁)。世界…

今でもある屋久島の皆抜

松田 裕之 2015年1月28日 ·Facebook https://www.facebook.com/hiroyuki.matsuda.3781/posts/774156512663629 屋久島を歩くと、皆伐の跡。この木は使われたのか。この作業道路は必要なのか?シカを増やす効果はありそうだが。

韓国の水産物輸入禁止問題

Date: Wed, 15 May 2019 14:35:14 +0900 韓国の水産物輸入禁止問題でのWTO報告書に関する意見を書きました。【】詳しい該当箇所は載せておりませんが,WTO報告書のうち,私が注目したのは下記のような段落です。 上級審報告書 福島事故による放射能汚染が一…

アクアネット寄稿「生態系アプローチから見た 改正漁業法の意義と課題」

Date: Tue, 23 Apr 2019 12:27:25 +0900 【アクアネット2019年4月号】に以下の特集が載りました。【アクアネット】昨年8月号の特集「水産政策改革案への異見と懸念」への異論を寄稿したところ,この特集の一部となりました。【特集】水産資源と漁業管理をめ…

環境影響評価で維管束植物レッドリストの使い方

Date: Thu, 28 Mar 2019 13:14:11 +0900 維管束植物レッドリストですが,先日,ある植物がII類である事業の環境影響評価を実施し,事業者が代償措置として移植したそうです。本当にその必要があるのか,その種について個体数がかなり少なく言われているがも…

生態学会における自然保護の議論

日時: 2019年3月25日 6:26:53 JST過去の生態学会の議論には以下もある。2007年松山大会まで行われた企画シンポジウム「大規模開発につける薬」への当時の菊澤会長のメッセージだ。「つける薬」という表現は、今なら「上から目線」といわれるだろうか。開発反…

学会の自然保護関係の要望書について

2019/03/23 (土) 16:37 【日本生態学会会長メッセージ2019年2月21日付の】下記に書いてあることは全く同感です。【自然保護専門】委員会でよく考えていただければ良いでしょうが。 【】学会の要望書を出すより、【各々の科学者個人として,自分に】しかでき…

CITES附属書掲載は手段の一つであり、Goalではない

Date: Sat, 2 Mar 2019 05:50:00 +0000 ワシントン条約【CITES】も危機ですね。環境団体やその意を受けた一部加盟国だけでなく、CITES事務局が附属書掲載を自己目的化している節がある。他方、掲載の効果検証、掲載削除の効果検証を行おうとする決議案もあり…

小笠原の海底を海洋保護区にする件

Date: Sat, 2 Mar 2019 05:50:00 +0000【自然環境保全法改正案の小笠原海底の】MPA設定はGoalではなく、海洋管理の手段です。それがわからないと、危惧されている通り、【同法に基づく自然環境保全地域の海洋指定が西表島の崎山湾1箇所のみであるのと同様、…