北海道民になじまぬ出題をした大学センター入試

以下を許可を得て転載します。(上記タイトルは松田による)

 札幌大学の早矢仕と申します。この週末、センター試験業務に勤しんだ全国大学教員の皆様、お疲れ様でした。終わってやれやれですが、理科の設問に関して、北海道に住む者として気になる点があり、投稿させていただきました。
 理科総合Bに、太陽光と植物の関係が出題されています。具体的には、陽樹と陰樹をそれぞれ選択肢から選ぶ問題です。その選択肢には、アラカシ・クロマツタブノキヤシャブシがあげられています。多くの皆様にはおなじみの木々かもしれませんが、これら4種はいずれも北海道に自生しておりません。ですから、北海道で生まれ育った受験生の多くは、これらの樹木を実際に見た経験がない可能性が高いと思われます。もちろんセンター試験に出題されるのですから、教科書には掲載されているのでしょうし、北海道の高校でも授業で教えているのでしょう。しかしそれでも、この問題は北海道の受験生に不利益を与えていると思います。温暖な地で育った「自然好き」の受験生は、とくに勉強していなくても正解できた可能性がありますから。全国一律の問題が与えられるセンター試験において、このような地域差を生む(可能性がある)出題は避ける努力をすべきではないでしょうか?それとも、そんなことまで配慮していたら、日本の生態系を題材にした出題は不可能になるのでしょうか?
 同じく理科総合Bに出題された、ブナの結実量とハタネズミの個体数変動に関する問題も、ブナの北限が北海道南部にあり、ハタネズミが北海道に生息していないという点では、北海道の受験生を若干不安にさせたかもしれません。しかし、こちらは種名に馴染みがない受験生にも不利益を与えない配慮が問題文中に加えられていると感じました
 Jeconetに参加されている皆様の中には、センター試験問題作成に関わる方々も多いかと思われます。今後、作問の際、とくに生物種名を解答させるような場合には、ブラキストン線より北に隔離された受験生たちの存在も気に留めていただけると幸いです。