書評 ジェフリー・ヒール著「はじめての環境経済学」

Date: Thu, 7 Jul 2005 09:18:15 +0900
皆様、松田です。以下の書評を書きましたので【一部を】紹介します。
2005年 環境経済政策学会 年報 掲載予定【】
どこかで、私の「ゼロ本」が寝転んで読めない【難しい】本だと批判された。しかし、寝転んで読めると言う下記書評は、ほめていると聞こえるか、今にして思えば疑問ですね。
書評 ジェフリー・ヒール著「はじめての環境経済学」(東洋経済新報社細田衛士・大沼あゆみ・赤尾健一訳2005)
 「元気が出る環境経済学」というのが、本書を読んだ最初の感想である。私は数理生態学者で、経済学の基礎を持たない。いつも、経済学の議論はたいへん難しく、素人がしたり顔では議論できないと思っている。しかし、この本はたいへんわかりやすく、寝転んで読める本と言えるだろう。
・・・【中略】
 「環境保全に最も有効で持続的なものは適切なインセンティヴである」という明確な命題は、国に金を出させて環境を守らせようと言う発想からは出てこない。日本生態学会生態系管理専門委員会は「自然再生事業指針」をまとめた(松田ほか2005:保全生態学研究第10巻)。その中に「(公的資金だけでなく)自然再生事業の支援を行う経済行為や、その生態系から得られる資源を活用した経済行為を発展させることが大切である。このような取り組みは、自然再生事業の財政基盤を強化するだけでなく、新たな雇用を創出し、自然再生事業を支える人材を確保し、人と自然の持続的関係を発展させるうえでも重要である」と記されている。本書の思想と共通するものといえるだろう。