Date: Thu, 19 Jan 2006 12:49:02 +1200
委員各位 事務方各位
徳山ダムの件について、17日に改めて【】話し合いました。私の認識は下記の通りです。事実認識に誤りがあればご指導ください。また、皆さんのご意見をお聞かせください。
結論:
- 営巣し続けるという仮説の検証ならば、GPSでなく目視調査でもある程度は可能である。しかし、移出が予想され、移出個体が他所で生きて繁殖できるかを確認するためには、目視調査では不可能である。もし今までのどのダムよりもクマタカ行動圏の水没面積が大きいならば、この場所のクマタカを調査したいというのは研究者としては当然である。
- しかし、地元の事務所協力が得られない以上、事務方【】としてはこの調査を行うことは進められない。
- 当委員会は【】委託事業であり、【委託元の】判断を受け入れざるを得ない。
- 本委員会の研究調査とは別に、事務所のモニタリング事業としてGPS装着ならびに調査を行うことが考えられる。ただ、調査手法を本委員会として各事業に対して提案することは本委員会の趣旨ではない。阿部委員長は徳山ダムモニタリング委員であり、かねてよりGPS装着による調査をモニタリング委員会で提案しているが、調査内容の詳細については阿部委員長をリーダーとするプロジェクトチームで検討することになっている(2005年11月27日モニタリング委員会議事録)。
以下は私の認識です。
- 今までいろんなダムでクマタカの行動圏の一部(20%以下?)が水没した例はあるが、営巣個体が移動したような明確な例はない
- 徳山ダムの4つがいの水没面積(最大38%程度)は過去のどのダムの例に比べても大きい。
- もしもダム運用後も営巣個体が営巣・繁殖し続けると事業者が予測するならば、事業としてはGPS装着は不要と言えるかもしれない。しかし、モニタリング委員会がどのような影響予測を行い、事業者がどう報告書に記述するかは未定である。もしも、営巣個体の移出が予想され、移出個体の運命が事業の評価に影響するならば、現在の目視調査だけではその影響を検証できない。この個体の影響調査は、研究対象としてもきわめて貴重なものである。
- ある研究者グループはクマタカ成鳥を捕獲した実績がある。しかし、確実に捕獲できるとは限らないし、捕獲自身がストレスを与え、その後の行動や運命に影響を与える恐れがある。捕獲前に餌付けを行うことが、食性に影響する可能性もある。したがって、この調査を実施する場合には、事業調査、研究調査に関わらず、地元への説明と合意を得ておくことが望ましい。
調査を科学者の提案どおりに実施しておくほうが、実施しないことに比べてはるかに社会的軋轢が少ないと何度も指摘しましたが、事務所の判断とあればいたしかたありません。 地元の協力が得られずに調査できないことは、一般論としてありえることです。