ゼニガタアザラシの絶滅危惧種(EN)判定の見直しを

Date: Wed, 25 Jan 2006 08:12:28 +1200
皆様
○○さん曰く「僕が管理者であれば、レッドリストからの削除を10年以内の目標にします。」
 たいへんよい提案だと思います。米国では白頭鷲RDBから外したりして、回復したものを外すことを保護の成果とすると思いますが、日本ではそれが少ないように思います。
 いま、ゼニガタはENですね。まずこれを我々で評価することが考えられます(そういえば私は水産庁からの委託事業である希少な水生生物データブックの委員ですが、鯨類はやるとして、アザラシも評価するなら、そちらでも考えます)。私はトドがENだと自分でも主張しましたが、ゼニガタがENというのが果たして妥当でしょうか。現時点でもENではないと思います。しかしVUには該当するかもしれません。そうだとすれば、「ENという判定ほど絶滅の恐れが逼迫しているとは見なせないが、現時点ではまだRDBから外すだけの根拠は無い。しかしこのまま回復を続ければ、10年以内にRDBから外すことが可能であり、いっそうの保護対策を講じることが望ましい。ただし、今後来遊経路や餌環境の変化により漁業との軋轢が増す可能性も否定できない。漁業と本種を含めた海獣類が共存できるよう、個体群の維持と被害軽減の両立を図る技術と社会的な合意が必要である」(文言要修正)というのは現実的な目標だと思います。
「動きのないところに合意形成は進みませんので、対策が先決です。調査内容はそのなかで必然的に決まると思います。」
はい。賛成です。
Date: Wed, 25 Jan 2006 10:08:56 +1200
皆様
そういえば私は水産庁からの委託事業である希少な水生生物データブックの委員と私は申しましたが、以前委員会で【私が】提案した判定基準、判定方法は下記サイトにあります。
 この判定基準では、10年以内、20年以内、100年以内に絶滅する恐れが少ない(E基準を満たさない)と合意されたものは掲載しない(E基準を優先する点と世代時間を考慮しない点に注意)ことになるでしょう(継続討議)。これは植物学者矢原徹一氏らとの議論を踏まえたもので、日本の維管束植物RDBでも同様です。ですから、環境省の哺乳類RDBの判断と食い違うこともあるでしょう。それはそれで考え方の違いと思います。
 基準Eを優先しなくても、世代時間を考慮しても、私はゼニガタはすでにENには合致しないと思います(基準A減少率=過去30年は増加、B生息域=<50km2でENですから、これは満たすかもしれませんが、日本の上陸場だけでなく繁殖場はどうか、C減少+分断=2つ以上安定した個体群がありENには該当しない、D個体数=250以下でENとはいえない、E絶滅確率=該当しない)。ただし、VUには該当するでしょう(D個体数=1000個体以下でVU)。順調に今後も回復すれば、これも10年後には外れたといえるでしょう。
 日本に来遊するのは種全体ではなく、個体群だと思います。分岐年代がさかのぼれるほど分かれていれば別ですが、襟裳集団だけをさらに別とみなして判定する必要は無いでしょう。 ただし、地域の生態系保全の指標としては、襟裳にゼニガタ上陸場を残すということは、立派な保全目標になるとおもいます。
サイトにIUCN判定基準の抜粋を置きます。
Date: Wed, 25 Jan 2006 10:25:11 +0900
○○さん
「ただ、以下の内容【上記赤字部分】は、「目標」ではなく、目標を達成させるための「目的」として位置づけ、必要な対策を実行すべきだと思います。」
 おー、一本獲られました。ご指摘どおりです。ありがとうございました。目標は、より具体的に詰めていく必要があります。それがこの報告書でどこまでできるかは不明ですが、むしろ今後の取り組み(目標設定)がはっきりしたと思います。