核心地域 死体回収についての意見

Date: Tue, 3 Jul 2007 17:50:07 +0900
 知床岬でのシカ回収について、下記サイトhttp://d.hatena.ne.jp/hymatsuda/20070703例1に載せたような説明をこちらの「有識者委員会処世術道場」で紹介したところ、知床にも詳しい自然公園法の専門家である加藤峰夫さんより、以下のご意見をいただきましたので、紹介します。
(加藤峰夫さんのご意見)
 私は「法令を守る」ということが、「現行法令を、現在までの解釈運用どおりに今回も実施する」ということを意味するのであれば、その必然性はないと考えています。
 もちろん、「行政庁(環境省文部科学省社会保険庁 等々)」に法律を無視されたり、あるいは勝手に法律の解釈を変更されては困りますが、それは そもそも行政という活動が、立法と司法および 行政が明確に分離された近代法治国家では、「法の下で、その法に基づいて行動する」という性質のものとして設計されているからです。しかしその行政庁自体が、現行法の改正や新たな法制度づくりの事実上の主体となっていることは、日本の法律作成の仕組みを見ると、明白なことですが ・・・【】
 しかし、私たちは行政庁ではないわけですから(大学の独立法人性の議論は別として ・・・)、「現行法令の現在までの解釈運用」に縛られた議論や提案をしなければならないわけではなく、場合によっては行政庁に対して、「現行法令の従来解釈を変更する理論・理屈を提供する」のも良いでしょうし、あるいは「現行法令自体が、より広い意味で見た法的正義・衡平・合理性から乖離している」ことを、会議の内外(外部とは、要するにマスメディアですね)に広く発言してもかまわないと思っています。ポイントは、松田さんが最初に御指摘になっているように、「何を勝ち取りたいか」ですね。
●なお、あまり良く考えていない私見ですが、鳥獣保護法で捕殺した鳥獣の放置が禁止されているというのは、比較的最近に導入された ルール(平成14年改正、15年施行)で、しかもその趣旨は、狩猟に利用される鉛弾が引き起こしかねない生態系影響の防止だったのではないでしょうか?http://www.env.go.jp/hourei/syousai.php?id=18000246
 また、廃棄物処理法上の問題(鹿 → 捕殺 → 巨大ナマゴミ → 不適切な処理は法違反?)も、廃棄物処理法のごみ放置・放棄禁止自体が、基本的には 人間の社会生活を意識した衛生上の配慮ですか ら、知床の対象地域を 自然公園法上の立入制限地域か利用調整地域にでもするという対策と重ね、しかも利用調整の場合は、立入りを許可された利用者への注意情報(衛生&鹿の死体に引き寄せられるクマ?)の提供を十分に行うのであれば、それでよいのではないでしょうか?(以上)