Tuesday, January 29, 2008 6:05 PM
「地球規模の食料需給と生物多様性の関係の話」で何が重要かといえば、当然ながら、途上国におけるバイオエタノール燃料の開発により、日本の食糧安全保障が損なわれる懸念があることが最重要課題のはずです。
最近の温暖化問題について、私は「この世の終わり(何十億人と言う規模の難民、餓死者、感染死者がでる)」が起こると言う議論と、「国家間の政治経済的な勢力地図が大きく変わる」様な議論、さらには「企業などからみた新たなビジネス危機、ビジネスチャンスが現れる」と言う話が、一緒に議論されているような気がします。
バイオ燃料が急速に普及し始めたのは、石油の高騰により南米などで森林を伐採したり、農地転用などで生産したバイオ燃料の価格が引き合うようになったからで、本当に温暖化防止効果があるかとか、長期的に有望な燃料かといえば、疑問である。むしろ、中国穀物需要の増加とあいまって、世界の食糧需給が逼迫した。
生態系サービス(生態系統服務)には供給、調節、文化的サービスがあり、農林水産生産物の供給サービスよりも、土砂崩れを防ぐなどの調節機能のほうが経済的にはるかに高く評価されている(Costanzaら1997やミレニアム生態系評価2005*1に強調されている)。生物多様性は、生態系サービスを維持していることの指標である。農林水産業は単に一次産業としての価値だけでなく、土地を保全することによる価値があることを認識すべきである。
風力発電などはまだ経済的に採算が取れず、補助金に頼っているが、石油がさらに枯渇し、高騰すれば、十分引き合うようになる。温暖化対策としては理想に近い電力源であり、蓄電技術の開発、鳥衝突防止技術の開発、人工浮島、人工魚礁との組み合わせなどを工夫して、将来は大幅に発電量が伸びる可能性がある。今からその技術を開発し、発電量を増やすべきである。