TAC有識者会議の資料にあるニュージーランドの資源評価について

Date: Thu, 18 Dec 2008 08:03:33 +0900
【水産】資源解析MLの皆さん

 TAC有識者会議の資料の7枚目に、以下の記述があります。
http://www.jfa.maff.go.jp/suisin/yuusiki/dai6kai/siryo_20.pdf
○「Report from the Fishery Assessment Plenary,2007」によると、以下のような状況。
・ほとんどの魚種で、資源評価を行うための情報が不足しているため、資源評価が行われていない。
・ホキやオレンジラフィーなど、資源評価が行われている主要魚種についても、資源状況が悪化しているものが多い。
 2番目については事実だと思います(私も同様の印象を持ちました)が、1番目は事実に反すると思います。
 今手元に見当たらないのですが、私が得た資料では、600以上の魚種海区について資源評価が行われているはずです。評価の精度は私にもわかりませんが、「行われていない」というのは事実誤認といえます。
 この資料はきちんと専門家が目を通したものでしょうか?誤った資料に基づいて、ITQ制度の諸外国の事情について議論されているとすれば、たいへん残念なことです。

Date: Thu, 18 Dec 2008 13:21:24 +0900
 NZの資源評価について、お返事ありがとうございます。

http://www.fish.govt.nz/NR/rdonlyres/24174A77-E96C-4D93-9AEE-F87DF234D8F3/0/_INTRO_MAY07.pdf
また,資源評価プロセス等に関する第三者の評価レビュー
http://www.fish.govt.nz/NR/rdonlyres/41510D21-0FEF-4EB4-8AD0-90FE2B21925C/0/ReviewMFishStockAssessmentProcessandSustainabilityAdviceNov07.pdfにも,関連する問題点が挙げられています。(p33など)(中略)QMSで管理されている系群が629あるので,形式上はそれだけの数の系群について評価しないといけないことになっている(後略)

 いずれも私が見たものとは違いますので、もう少し待ってください。【後者の】P33には、”Estimation of the stock size that will provide the MSY is a difficult and expensive undertaking for any stock, and, in the current financial environment, impractical for most."とあります。MSYが計算できなければ資源評価といえないとは、私は思いません。
 ここまでQMS【quota management system】の 系群 を増やす必要があるかといえば疑問ですが、私がいただいた資源量推定値の表はかなり分厚かった。そのどこかにNo dataがあったかどうかは確認していませんが、「ほとんどの魚種で資源評価が行われていない」というからには、少なくとも7,8割で行われていないとふつうは読めます。具体的な数字をこれから調べます。
 多くの系群で資源評価を行い、まがりなりにもQMSを適用している点は、むしろ資源評価の努力としては、褒め称えるべきだと私は思います。
 資源評価をまったくやらずにTACC【Total Allowable Commercial Catch】を決めているとは考えられません。TAC検討会の資料にもあったように、毎年きめ細かくTACCを変えている様子は(多くの魚種では)ないので、資源評価がどの程度TACC設定に生かされているか、資源回復や維持にどこまで効果を発揮しているかどうかは疑問ですが、だからといって、「ほとんどの魚種で資源評価が行われていない」という状態とは違うと思います。