昨日12.12 生態リスクCOEシンポジウムのお礼

Date: Sat, 13 Dec 2008 14:05:25 +0900
生態リスクCOE関係各位
昨日のCOEシンポジウム 環境問題における「不都合な真実」 は、おかげさまで150名以上の参加者に恵まれました。人数ならびにアンケートの集計はまだですが、活発な議論が行われました。
 COEメンバー、フェロー、RA、研究室学生等の皆さん、COE事務局と環境情報総務係、本学事務、国立環境研の皆さんに多大なご支援をいただきました。ありがとうございました。
 藤原さんと嘉田さんの名司会により、時間も予定通りに進み、会場からの質問も活発に行われ、パネル討論も密度濃く行うことができました。ありがとうございました。パネル討論での意見が長すぎて、会場からの一般参加者の質問を受ける時間がなかったことは、申し訳ありません。また、千両役者の江守さんの発言時間が短くしか取れず、申し訳ありません。アンケートがかなり回収されているようですので、別途質問にお答えしたいと思います。
 各講演者の話はどれも迫力があったと思います。具体的事例に対する解を示しながら、その知見を科学的に普遍化するプロセスを目の当たりにできたでしょう。
 多くの講演者が「不都合な真実」という言葉を引用しながら話をしました。私なりに整理させていただくと、伊藤さんは所謂温暖化報道の中に都合のよい主張が含まれていること、それによってCO2問題だけが至上命題化し、局所的短期的な対策、総合的長期的な対策がともにおろそかにされているのではないかと主張しました。私もマグロ9割減少説などのを批判する「不都合な専門見解」を紹介しつつ、資源管理と沿岸漁業共同管理の必要性をともに主張して世界標準を改めていった過程を紹介しました。藤江さんは東南アジアのバイオ燃料の環境影響という「不都合な真実」を指摘しつつ、単にその取り組みを否定するのではなく、アジア視点に立った解を示していたと思います。五箇さんはカエルツボカビ症が両生類の絶滅因子であるという「不都合な通説」への疑義を示しつつ、両生類と自然保護の必要性をわかりやすく説いていました。国連大学副学長になられたの武内さんは、SATOYAMAが歴史的に常に持続可能だったという通説を否定し、アジアにそのまま適応できるという楽観論を否定する「不都合な真実」から、SATOYAMAイニシアティヴと国連ミレニアム生態系評価の里山里海サブグローバル評価への抱負をどこよりも先んじて披露いただきました。
 今回の講演者はわがCOEの人材の一部です。5年間のCOEプログラムを通じて、さらにさまざまなメンバーの取り組みを紹介したいと思います。
 パネル討論の最後に述べたように、たしかに学際研究、広い視野を持った研究者になることが重要です。しかし、まず、狭くてもよいから自分の専門分野を極め、その課題だけは世界の誰よりも秀でることが大切です。よく、T字(一つのしっかりした根を持ち、広く展開する)とかΠ字(根は2つがよい)といいますが、Tでもよいからしっかりした根を持つことを、若手研究者に勧めます。