変動する資源の漁獲割当量制度について

Date: Mon, 5 Jan 2009 23:26:34 +0900
あけましておめでとうございます。大晦日から今日にかけて、表記の計算をやっていました。
 問題意識は、まき網漁業の効率化を図りたいということです。しかし、この対象資源は大きく変動するので、そのような資源にIQやITQがうまく機能するのかを考えてみました。【】皆様のご意見をお待ちしています。また、仮定などに疑問がありましたらご助言下さい。さらに、現実の実態(たとえば定置網のイワシやサバはまき網より魚価がどの程度高いのか、ノルウェーのIQや日本のTACの配分方法など)についてご教示いただければ幸いです。

Date: Tue, 6 Jan 2009 09:41:24 +0900
神速のお返事、ありがとうございます。
 私の設定した問題は【】、効率のよい漁業1に飽和関係を仮定し、資源が多いときにはとりきれない(効率が下がる)ようにしました。これならば、限界効果が等しくなるように配分されます。

また,「ITQ制度は全体の資源利用の効率を高めるための制度ではなく、あくまでも個々の漁業者の利益を追求するための自由競争市場の制度である。」というのはよく言われること

 はい、改めて思い知りました。規制改革と環境保全は別のものですね。
 【ITQは同一漁業種類内での譲渡に限るべきで,漁業種類間の配分は,別途の方法で,社会的な富の総量が最大となるように(ある種の計画経済的な手法によって)定める必要がある】ということですね。問題は、その配分比がどうなっているかということです。
 今回扱っている【ように、】漁業種間で取引されているかどうかは実はよく知りませんが、ニュージーランドでもアラスカでも、漁業種間(あるいは先住民との)配分は定率だと思います。

Date: Tue, 6 Jan 2009 11:17:57 +0900
 原稿にも書いたように、同じ漁業種内での取引は有効だと私も期待しています。今回の原稿はそれを示すためのものではありません。漁業種間での漁獲枠の設定をどうすべきかという問いなのです。それなしに、ITQは導入できないと思います。
 誤解なきように申しますが、私は、ITQに賛成です。ただし、有効な部分と有害な部分を区別することが、真にそれを生かす道だと思っています。変動する資源に対してどう配分するかが、最大の問題だと思っています。
 そういう意味では、やはり、漁業種間では譲渡しないほうがよいということかもしれませんね。それならそれでもよいのです。ただし、今のTACでも、沿岸に一定量を配分するとはなっていないと思います(知りませんが)。 実際の大臣許可と知事許可の配分は、どうなっているのですか?
 自主的ITQならば、漁業種間の譲渡を禁じて、ITQが有効なIncentiveになる漁業者同士でのみ行うことも、十分可能なはずです。それでよいのではないですか?

Date: Tue, 6 Jan 2009 12:13:15 +0900
 その辺はまさに考え方の違いですね。漁業種間の漁獲枠配分の問題は避けられません。それも、資源水準によって大きく変わることが重要です。そこが理解いただけないとすれば残念ですね。 問題は、具体的に議論することです。 
 ITQは本当に所有権の問題なのですか?そのほうがうまく管理できるとは限りません。排出量取引も、かなり危ないという意見のほうに、私は与します。それは、京都議定書を無効化しようという意味ではありません。
 それでも、まき網漁業については、今よりはIQ/ITQのほうがはるかにましでしょう。改革か抵抗かではなく、どう変えるかの問題です。
 【NZの資源評価については、】あれだけやっているのは、むしろほめるべきだと思います。資源評価が不十分というのなら表現の問題ですが、「ほとんどの魚種でやられていない」というのはデマでしょう。【】規制改革会議の不備をつつきながら、自分の答申には甘いのか。あれ
は訂正すべきです。

Date: Tue, 6 Jan 2009 12:38:30 +0900
 NZはTACを決めるときにはかなりのどろどろ【】と聞いています。資料を見ても、数年に一度しかTACCを改定していないものがほとんど。
 私は、資源学者がABCの答申を出して、利害関係者が決めるという制度自体は、悪いとは思いません【】。利害関係者の中に資源学者も入って同時に決めるよりよいと思います。【しかし、複数のABCを答申するというのはいただけません。まず、社会が資源回復目標を定め、それを満たす単一のABCを答申すべきでしょう】