近刊『環境倫理学』オビ文案

Date: Mon, 12 Oct 2009 12:55:56 +0900
ご期待に沿える内容かどうか分かりませんが、末尾に書きました。さすがに、50字と言うのはかなりきついですね。言葉足らずにならざるを得ず、明確なメッセジであることを重視するとなると、さらにつらい。
 なお、鬼頭さんの序章は、わがCOE「アジア視点の国際生態リスクマネジメント」に大いに参考になります。中間評価でも「アジア視点」の意味を問われ続け、「アジア視点作業部会」を作ったところです。
環境倫理学 帯 松田案
気候変動や生物多様性条約が語る世界標準の歴史は浅い。自然破壊と科学の二重螺旋が描く環境倫理の現在像(49字)
文意 気候変動や生物多様性条約が語るGlobalStandardは、実は20年ほどの歴史しかない概念が多用されている。しかも、予防原則の名の下に、科学的に検証された知見や学説に基づいているものばかりとは言い切れない。自然への畏敬の念など、広義の環境倫理の概念はずっと古くからある。両者は一部等価的で読み替え可能な概念だが、西洋科学の文脈に載せたがゆえに、功利主義および(中世キリスト教会の)免罪符の再来と呼べるような形で変質したものも多い。かといって、旧来の倫理観だけで現在の環境問題が解決できるわけでもない。そして、現在のStandardは、20年後にはさらに見直されていることだろう。そのような歴史変遷の一過程として、現在の環境倫理を理解するうえで、本書は日本で唯一の読み物といえるだろう。