生態学会自然保護委員会の生物多様性論点意見書案について

Date: Thu, 12 Apr 2007 21:55:08 +0900*1
 この意見書提出は先週で締め切りを過ぎていて、今、それを踏まえた説明会の最中のようです。意見が少なくて困っていたようで【】す。環境省内部の議論を聞いていると、地球環境局(温暖化など)と自然環境局(生物多様性など)の軽重が大きく前者に傾いているようにも感じます(特に根拠はありません)【】(私は「論点整理」に加わった当事者ではありません)
 自然保護委員会が出す意見書ですから、自然保護委員全員の議論を踏まえているならば、私が申し上げることはありませんが、気づいた点を挙げます。
1. もう少し褒めるべき点は褒め、建設的な議論をしたほうがよいと私は思います。生物多様性の議論が不完全だと思われるほど、環境省内部での重要性は薄れるでしょう。
2. また、里山の定義があいまいだと批判するならば、順応的生態系管理とは何か、きちんと定義すべきでしょう(順応的個体群管理はかなり明解ですが、生態系管理まだ研究途上だと私は思っています)。むしろ、これらをきちんと定義することはわが学会の役割で、国家戦略でそれを引用・反映させるべきです。助言者または主体的な担い手として意見を述べるほうが良いと私は思います。
3.論点整理を今見てみましたが、多くの指摘は既に論点整理になされていると思います。最後に「さらに議論いただきたい点・・・」が論点整理に提示されているのですから、これに助言することが重要です【】。たとえばこのうちの(3)超長期的に見た国土の自然環境のあり方(4)生物多様性の指標・評価(5)地球規模の生物多様性保全への対応などは、具体的な提案を(時間をかけても)検討すべきだと思います。これらは生態系管理委員会の仕事かもしれませんが。
4.意見書にある「依然として加速度的に破壊され」ていることを示す根拠は何でしょうか?依然として破壊され続けている(環境省論点整理の指摘どおり)と思いますが、バブル期より今のほうが破壊速度が速いことは自明ではありません。【】
7.種の保存法の指定種などについて、「該当する種数や保護地域の面積等、国家として具体的数値目標を掲げ」ることは個人的には賛成しません。むしろ個体数が回復したものは米国のハヤブサなどのように指定解除をすることも大切だと思います。その点を抜きに単に数値目標を立てることは得策ではないと私は思います。【】

*1:2007.6.10掲載