ブナの大木の移植

Date: Sat, 11 Aug 2007 22:41:57 +0900
神奈川県から依頼された【集会での講演】ということでしたら、喜んでお引き受けします。私は横浜国大にきて4年目ですが、まだ、神奈川県と深く付き合う機会がありませんでした(委員委嘱1件のみ)。【】ただ、【日本海側】のブナの木を丹沢や横浜の公共施設に植えるというのは、少し注意されたほうがよいと思います。最近では同じ種でも、地域の遺伝的多様性を重視するようになりました。ブナには太平洋側(葉が小さい)と日本海側(葉が大きい)のタイプがあることはよくしられているそうです。丹沢ではあくまでも丹沢とその近辺から稚樹や種子を調達するほうがよいでしょう。
 一昨年、東京湾にいなくなったらしいアオギスという魚を大分から放流しようと水産庁などが「海づくり大会」で企画しました。私は検討委員でしたが、一部の魚類学者の委員からは遺伝的汚染に対する懸念が表明されました。結局、魚類学会委員会が質問状を出し、この話はなくなりました【】。私は水産庁が漁業対象種以外の魚を東京湾に復活させようという動き、すでに東京湾からは絶滅した可能性が高いこと、今回の「放流」は象徴的なもので定着する可能性が低いことから、反対しなかった(私のブログ 2005.4.234.19 4.6)のですが、このような条件のもとでも、学者や自然保護団体の反応は極めて敏感です。ときには、「教条的」な反応から対立を招くこともあるでしょう。
 しかし、いろいろやり方はあると思います。要するに、【両者】の交流を図り、××の取り組みを通して、横浜市民に親しめる自然を作る取組を考えればよいのですから。3つの世界自然遺産の交流を図ることは大変良いことだと思います。
 丹沢の経験は、神奈川県と横浜市にとって大変貴重です。丹沢の自然も、地元の人にとっては貴重な無二のものです(当たり前ですが)。その点を踏まえておけば、××の取り組みは神奈川と横浜の行政だけでなく、市民や我々研究者にとっても、大変参考になるでしょう。うまくいく解が得られると思います。
 たとえば、互いの植林の取り組みを交流する(××の取り組みを紹介していただき、神奈川でも地元の稚樹を用いた同様の取り組みを行う事を支援する)とか、××の巨木を模したモニュメントを作り、交流と両者のブナの違いが見学者に分かるようにするとか、クマの(狩猟や)解体の様子を紹介しつつ、熊鍋をいただくとか、いろいろ考えられると思います。このようなアイデアは、××さんのほうがずっと洗練されていることと存じます。【】