戦略環境評価について

Date: Fri, 26 Feb 2010 02:49:03 +0900
 ご無沙汰しています。環境影響評価法も見直しの時期になり、いよいよ、戦略的環境影響評価(SEA)が採用されそうですね。私としては、愛知万博(1999年法施行時)にも提案した、定量的評価(あのとき具体的に提案したのは植物RDBを用いた絶滅リスクの増分)を今度こそ入れていただきたいと思っています。
 しかし、SEAをどのように行うかが、まだ骨子さえ決まっていないようです。先日、環境省生物多様性などの長期調査について意見を述べる機会がありましたが、環境影響評価に使う(そのためにたとえば上記のような定量的評価を行う仕組みを作る)べきだと述べましたが、まだ、環境省内部で、長期調査とSEAの部署が話し合ってさえいないように思いました。データベースは作ることに意義があるのではなく、使うことに意義がある。
 その過程で現在日本で言われているSEAは、少し違うのではないかと思っています。

  1. SEA=計画段階の評価なのですか?私は、計画段階も事業段階も含めた総体の考え方のことだと思っていました。
  2. SEAは環境だけでなく、社会経済的側面(便益)も含めて評価するのではないですか?ほとんどの事業では、便益を評価しなければ「何もしない」ときに比べて、環境負荷は増えるはずです。
  3. 調査や合意にかける費用や要件は、事業規模によって変わると思います。ダムや原発と同じ費用を風発の環境影響評価や保全措置にかけろと言っても、事業規模が2桁くらい違いますから、無理に決まっています。巨大公共事業による自然破壊を避けるために厳しい運用指針を設けたために、却ってEIAは普及しなかったのではないか。
  4. EIAやSEAは事業者が社会のために奉仕する「義務」ではなく、合意形成を円滑に進め、事業をやりやすくすると言う側面があるはずです。しかし、上記のような考えでは、結局、事業者にとって負担にしかならず、定着しないように思います。

 今までも、事業者は内々に計画段階で立地選定を含めて検討していたはずです。そのうちまともなものを手本とし、透明性を高めて行えば、それほどSEAは調査分析については難しいことではないと私は思います。敷居を高くするよりも、SEAを定着させるほうが、結果として日本の環境は守られると思います。たとえば、立地選定段階のSEAを公表すれば、却って反対派は自分のそばが立地として不適だとは言いにくくなるでしょう(事業者対住民でなく、立地候補の住民同士の対立になる)。便益と比較すれば、「何もしない代替案」との比較もしやすくなるはずです。事業者にとってもメリットがある形にしないと、SEAだけでなく、環境影響評価そのものが、日本に普及しないと思います。
Date: Thu, 18 Feb 2010 10:31:03 +0900
今回戦略評価SEAを導入しようとしているが、そこで何をするかの指針が見えません。モニタリングサイト1000などの政府の生物多様性基礎調査(河川水辺の国勢調査なども含む)のデータベースをうまく活用して、計画段階の透明性のある評価を行う手引書が必要です。それには、上記のような方法が必要でしょう。生息地評価法HEPでもよいが、絶滅危惧種を守ると言う発想とはかなりかけ離れていると思いますし、HEPこそ事後検証が必要です(モデルは外れるもの)。環境省の中でも、SEAと基礎調査データベースの関連付けは全く聞こえてきません。使えるデータベースは使ってもらって初めて価値が出る。SEAに使うようにするのが筋でしょう。
1999年環境影響評価法制定のときに、私は植物レッドリスト愛知万博環境影響評価にかかわっていました。そこで、植物RDBのデータベースを使って定量的な絶滅リスク評価をする方法を提案しました。通産省は大いに乗り気だったが、環境省が採用しなかった。結局、法ができてから環境影響評価の仕事は公共事業の削減によって却って減り、環境コンサルタント会社の仕事も減ったと思います。
今まで、気候変動のように大勢の数理モデル屋を導入してシナリオ分析などをしまくるという体制をとるよりは、現場の生態系や地域振興にかかわる人材が大切だと思ってきましたが、複数の意見を聞いて、考えを変えました。今後の生態系管理と環境政策提言には大勢の数理モデル屋が必要です。気候変動自体も、生態系と結びつかないと結局は社会に還元できないことが多い。その際に、過度の危機宣伝や現実とかけ離れた空文句の目標などではなく、地域の利害関係者が納得と合意ができる具体的な目標を定めることが大切です。皆さんのご意見をお聞かせください。
Date: Thu, 18 Feb 2010 10:36:58 +0900
 今まで、気候変動のように大勢の数理モデル屋を導入してシナリオ分析などをしまくるという体制をとるよりは、現場の生態系や地域振興にかかわる人材が大切だと思ってきましたが、複数の意見を聞いて、考えを変えました。今後の生態系管理と環境政策提言には大勢の数理モデル屋が必要です。気候変動自体も、生態系と結びつかないと結局は社会に還元できないことが多い。その際に、過度の危機宣伝や現実とかけ離れた空文句の目標などではなく、地域の利害関係者が納得と合意ができる具体的な目標を定めることが大切です。
 1999年環境影響評価法制定のときに、私は植物レッドリスト愛知万博環境影響評価にかかわっていました。そこで、植物RDBのデータベースを使って定量的な絶滅リスク評価をする方法を提案しました。通産省は大いに乗り気だったが、環境省が採用しなかった。結局、法ができてから環境影響評価の仕事は公共事業の削減によって却って減り、環境コンサルタント会社の仕事も減ったと思います。
 今回戦略評価を導入しようとしているが、そこで何をするかの指針が見えません。