サステナブルCSRレター 2010/11/08(No.092)の感想

Date: Tue, 9 Nov 2010 00:28:42 +0900
 いつもメール配信ありがとうございます。また、生態学会へのご支援、ありがとうございます。
 COP10の感想ですが、少々私と違います。
 日本は議長国としての大役を果たしたと私は思います。問題は中身と仰いますが、議長国として合意にこだわったからこそ、合意ができたのだし、中身にこだわらないと言うことは、皮肉を含めて言えば、最も公正な議長国としての賞賛と信用を得たと思います。それ自体が成果です。
 締約国間の対立が先鋭化する中で、中身にこだわれば、あるいは「曖昧さ」を排除すれば、合意できなかったと思います。そのどちらがよいかといえば、合意したほうが良かったと、私は思います。
 ABSの問題は、私には素人でよくわかりませんが、私が聞いた限りでは、これは法律の問題です。【】派生物を含める制度を各国が整備すると言う合意をするのがせいぜいであり、その意味ではそれほど対立はなかったと聞いています。しかし、拘束力はないから、そのような報道【解釈】の分裂が生まれたのでしょう。法律の問題という報道をするのが最善でしょう。【】
 国際条約とは、もともと協調の必要性の自覚と信頼関係によって結ばれるものだと思います。無理やり合意して拘束すると言う趣旨ではありません。日本はそれが(結果として)わかっていた【】。
 愛知目標で、非現実的な目標がさらりと書かれているという点は同感です。DIVERSITGAS科学委員としては、2つまでしか意見を言えなかったので、自分が述べた MSY概念を用いないこと、 MPAに自主管理を含めること(MPAその他の方法と表現) は反映され、私としては80点で成功です。とても全部は書き換えられません。
 保護区面積の数値目標が妥協の産物と言うのはその通りです。しかし、それで不十分とは思いません。逆に言えば、陸域25、海域15%と書けば自然は守られるかと言えば、そういう問題ではありません。もともと数字の問題ではなかった。しかし、合意したことに意味があるとはいえるでしょう。批判するより、合意したことを評価します。
 その達成が大変だと言いますが、【】単一魚種の産卵期の保護でもよいということですから、不可能ではない。それで生態系全部が守られるとは思いませんが、愛知目標を使って、さまざまな保護措置を国内で合意することができるでしょう。
 コペンハーゲンと同様の困難な状況の中で、合意を得たこと自体は評価すべきだと思います。全会一致方式の限界と仰いますが、国際条約とはそんなものだと思います。科学委員会としてはIWCのほうが機能していると思いますが、総会としては、IWCはむしろ機能不全に陥っています。
 Initiativeと言う言葉は日本では誤解を招きますが、要するに、手始めにやってみようと言う意味のようですね。それはたいへん結構なことだと思います。
 いずれにしても、今後とも宜しくお願いします。