保護区の隣に風力発電を

フレシマは電源開発が今夏に風発撤退を発表しました。
 最も懸念されていたのはオジロワシです。事業者は詳細な飛翔図を別の地元専門家に調査委託しており、良いデータがとれています。ある専門家は「(餌となる)エゾシカの死体などが放置されれば衝突死が起きかねない」と懸念していたようですが、このリスクは努力すれば減らせると思います。そもそも、あと数年で北海道庁はシカを減らすつもりです。それは信じられなくても、猟師が捕殺した死体の除去は注意すれば可能と思います。
 今年の鳥獣保護法改正により、環境省は捕獲専門家が組織的に大量捕獲をする制度を整えるつもりです。むしろ、フレシマではこの仕組みを奨励し、死体管理もされるべきでしょう。たしかに、隣に野鳥の保護区があります。しかし、保護区自体に風車を作るわけではありません。むしろ、野鳥の会にも保護区と風車をセットで作っていただき、保護区の隣のシカ捕獲も組織的に行っていただくほうが良いのではないでしょうか。
 再生可能エネルギーの中で、風力は地熱と並んで最も現時点での事業効率性の高いものです。日本のCO2排出、採算の取れない太陽光に過度に依存した政策など、日本のエネルギー政策は矛盾だらけです。「原発を段階的に撤去」という当たり前の政策をいうだけで非難される土壌をマスコミが作り上げ、日本のエネルギーと気候変動政策は機能不全に陥ってしまいました。
 5年前には、風発の鳥衝突問題は「あわら風発」で決着がつくと思っていました*1。しかし、まだまだ研究が必要なようですね。諸外国に比べて5年どころか10年以上の風力推進の遅れは日本の環境政策にとって非常に痛いが、官民挙げて反対の声が根強い以上、仕方がないのでしょう。

*1:結局、現在に至るまで、幸いにしてあわら風発でのマガンの衝突死は1例もありません。これからも全くないとはいえませんが、そのリスクは十分低いといえるでしょう