新型コロナ肺炎の順応的管理のための指標候補

私は論座(2020/5/4付)でPCR検査の感染者数は全数調査でも無作為標本でもないので、真の新規感染者数を推定し、それを指標として順応的管理を行い、緊急事態措置を解除する条件を明確にすべきだと述べた。死者数を指標とすると対策を講じてから効果が表れるまでに2-3週間の時間遅れが生じるとも指摘した。他の指標も考えてみる。

 (真の)現在患者数という指標も考えられるが、回復までに時間遅れを伴うので、(真の)新規感染者数のほうが迅速な指標と考えた。ほかに、重症患者数という指標はあり得るだろう。下記にECMOnet集計を示す。赤が現在のECMO実施中の患者数である。緊急事態宣言を出した4月8日より減るどころか、2倍ほどに増えていることがわかる(東洋経済サイトにある入院者数は絶対数が少なくて参考にならないように思う。【5/5加筆:累積が訂正で減るようなデータでは心もとないが、かなり減ってきてはいると思われる。】漸減傾向にあるが、まだ当分かかりそうだ。)

 

COVID-19 重症患者状況 日本COVID-19ECMOnet集計

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国内のCOVID-19に対するECMO治療の成績累計

新規死者数 Worldometers

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新規死者数 Worldometers.info


新規死亡者数(東洋経済

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【5/5,6:14加筆】感染者数、重症者数、死亡者数の年齢差 東洋経済

感染者は感染日から数日程度だが死亡者はそれから2週間程度たっていると考えられるから、同じ感染日までで比較しないと定常状態の比率ではない(重症化率、死亡率の過小評価要因)。軽症や無症状は検査していない人がこれよりおそらく一桁多くいる(重症化率、死亡率の過大評価要因)だろうが、いずれにしても、得られた重症者数、死者数を年齢で補正すれば、少し以前の真の感染者数を推定できるだろう。

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