統計的生命の価値からみて、緊急事態と医療崩壊の軽罪損失を比べてみる

 緊急事態の経済損失(日本の4月だけ、個人消費だけで14兆円)は重い。新型コロナワクチン普及まで2年として、これを2年間続けるのは重すぎる。かといって、放置して数十万人の感染死者が出るのも「経済的に同じ程度」に重い。(「統計的生命の価値」VSLという概念があります。1万分の1の死亡リスクを避ける価値は2万―10万円といわれている。英国では緊急事態の経済損失に加えて、4万人の死者で10億円単位の損失と計算される。集団免疫獲得を目指せば、その数十倍)。緩和策と封じ込め策のどちらが合理的かは微妙です。桁違いにどちらかが得ということはない。
 国民の10%がActive感染しても医療崩壊しない体制があれば、少し「ピークを遅らせる」(毎月数兆円程度の損失?)だけで医療崩壊を防ぐことができる。おそらく数か月で集団免疫を獲得できるでしょう(新型コロナが再感染する感染症だとしても、2年間は何とかなるかもしれない)。おそらく、行動抑制の度合いfとその経済損失の金額Cは比例せず、C=f^qなどとなる(q>1)。緊急事態中のfが0.6程度だとして(0.8より低かっただろう)、f=0.2程度の行動抑制の費用は、うまくやれば、その数分の1よりもっと安いかもしれない。1兆円くらい投じてでも、「夜の街」の感染を食い止めるべきでしょう。
 国民の1%以下の感染でも医療崩壊するとなると、2年間で集団免疫獲得は難しい(死者数が多すぎる)。医療崩壊を防ぐことと2年間緊急事態に準じた行動抑制を続けることは、現時点でどちらかが桁違いに重いとは言えない。