3.16 横浜国大風発シンポジウム 講演要旨

Date: Sun, 4 Mar 2007 17:48:08 +0900
3.16 横浜国大風発シンポジウム
以前お伝えした下記のシンポジウムの講演要旨ができました【】。 
 風力発電については、地球温暖化対策の有力な代替エネルギーであり、その推進が期待される半面、「一切の鳥への影響に反対する」という反対声明があがることもあります。まさにわが横浜国大で取り組んでいるリスク管理・リスクトレードオフの典型例です。野鳥研究者からエネルギー問題の専門家までを交えて合意形成を図るシンポジウムは「日本で初めて」(あるかたのご意見)であり、私としても大いに楽しみにしています。【】
 皆様と、周囲のかたのご参集を歓迎します。

横浜国立大学21世紀COE「生物・生態環境リスクマネジメント」第37回公開講演会
日本における風力資源エネルギーの可能性−環境への負荷,エネルギー源としての有効性と将来性ならびに採算性を総合的に考慮した合意形成にむけて−
共催:横浜国立大学21世紀COE「生物・生態環境リスクマネジメント」・
JSPS科学研究費補助金基盤研究(C)(企画調査)「生態リスク管理の行政事例研究と管理手法の統合」
第1部:環境負荷〜鳥類衝突事故,鳥類保全および共存策〜
13:00-13:30 白木彩子(東京農業大学):鳥類の保全風力発電施設
13:30-14:00 島田泰夫(日本気象協会)・松田裕之(横浜国立大学):風力発電事業における鳥類衝突リスク管理モデル
第2部:エネルギー源としての風力発電の有効性と将来性ならびに合意形成
14:00-14:30 鈴木章弘(風力エネルギー研究所):日本の風力発電事業における将来性と採算性
14:30-15:00 魚崎耕平(日本気象協会):風力発電事業の合意形成における環境影響評価の役割
休憩15:00-15:10
14:10-15:40 丸山康司(産業技術総合研究所):風力発電事業に対するダイナミックな社会的受容性
15:40-16:10 本藤祐樹(横浜国立大学):環境保全における風力発電のジレンマ−技術評価の重要性−
第3部:総合討論
16:10-17:40 (司会進行,松田裕之)
第4部:懇親会
18:00-20:00 (横浜国立大学 大学会館内 きゃら亭)
参加申し込みは上記サイトをご覧ください

風力発電に関する加賀市長の見解

Date: Fri, 2 Mar 2007 09:51:43 +0900
下記の加賀市の公式サイトに掲載されている加賀市長の見解には驚きました。

あわら市における「風力発電施設」建設に係る野鳥等保護について、下記のとおり加賀市と(財)日本野鳥の会等が共同記者会見を行うと共に、関係機関に要望書を提出しました。なお、同記者会見の席上において、市長は、現時点での民間事業者による計画に反対する意向を表明しました。
【この声明には以下のように記されている】
風力発電施設計画者は、風力発電施設の調査計画に際し、片野鴨池の生態系及び鴨池をねぐらにし坂井平野を餌場として活動するマガン、ヒシクイ等希少鳥類の生態について、風力発電施設に係る充分な環境影響調査を実施し、同施設建設による鳥類への悪影響が一切出ることのないよう慎重な対応を実施すること。

 風力発電環境影響評価法の対象事業ではありません。しかし、加賀市長が反対しているあわら市の風車計画では、事業者が自主的に環境影響評価を行っています。それを法の趣旨にできるだけ沿って慎重に行ってほしいという声明ならば理解できます。
 しかし、「一切の影響が出ない」というのは、環境影響評価法の趣旨ではありません。事業を行う以上、そのようなことは原理的に不可能です。影響が懸念されるからこそ、それを回避、低減、代償する環境保全措置が法によって求められているのです。法の対象事業ではない風発事業に対して、法でさえも求めていないような措置を求め【ていることになります】。
 環境影響評価法では、騒音などの工学系の評価についてはある基準を設けて、それを達成する「目標クリア型」の保全措置が求められます。基準を達成しても影響が一切ないということではありません。それは社会的に許容される影響の程度を定めたものであり、それを満たしていても、周囲に迷惑をかけていないと事業者が考えてよいとは言えません。注目すべき生物への評価については、このような基準はありませんが、「実行可能な範囲」で回避・低減・代償措置を採るという「ベスト追求型」の措置が求められます。この場合も、影響の対象が問題であり、天然記念物のマガンが1羽でも当たってはいけないという意味ではありません。懸案の片野鴨池の場合に重要なことは、ラムサール条約登録地に越冬する雁鴨類が今後も存続し続けることです。
 片野鴨池をねぐらにして越冬する雁鴨類は、マガンについては福井県あわら市にある採餌場を利用しています。鴨池と採餌場の両方の保全が必要です。したがって、貴重な自然の価値は、加賀市は自ら所有する片野鴨池だけでなく、あわら市との共有財産と考えるべきでしょう。

函館市汐首岬の風力発電計画について

Date: Fri, 16 Feb 2007 21:16:36 +0900
【2/16(金)の北海道電力(株)殿の入札/抽選会の結果、上記案件が実施できる見込みが殆どなくなったことについて。】それは残念でしたね。現在の制度では、入札/抽選に当選してから合意形成を図っていては、係争する案件については時宜を逸します。したがって、抽選前に委員会を開催したことは正しかったと思います。委員会開催に同意したユーラスエナジージャパン、さまざまな行き違いを乗り越えて委員会の開催に応じていただいた委員の皆さん、開催の事務方を勤められた日本気象協会の関係者の方々に深く敬意を表します。
 結果は残念でしたが、この経験は、今後の日本の風力発電問題によい前例となると思います。 環境省資源エネルギー庁が合同で風力発電の検討会を立ち上げました。
 3月16日には、横浜国大にて風力発電の合意形成に関するシンポジウムを開催します。白木さんと魚崎さんにも講演いただきます。皆様の参加を歓迎します。http://risk.kan.ynu.ac.jp/sugimoto/070316COE.html

「不都合な真実」から目をそむける風発反対運動

 先日、「不都合な真実」を見ました。あそこにもしっかり風力発電の映像がありました。CO2削減のために風発を推進しようという趣旨だったと思います。実際にCO2削減に繋がるように、そして鳥の衝突などの影響が小さくなるように、工夫を考えたいと思います。
 【加賀市長は渡り鳥に一切の悪影響を与えない限り風発に反対しているということですから、加賀市の水田を餌場としている、減り続けている】鴨池に飛来するカモの保全については、加賀市を挙げて取り組んでいただけるでしょう。

Date: Mon, 19 Feb 2007 09:47:54 +0900
下記、早速私のブログでも紹介させていただきます。

研究会で話題にした、ゴアの映画の「不都合な真実」の日本語版正式HPの「不都合な省略」の件です。大阪大学コミュニケーションデザインセンターの平川秀幸さんがブログで書いています。お読みください。
http://hideyukihirakawa.com/blog/archives/200701/202213.php

1.27金沢大学里山シンポジウムでの風発の議論

hymatsuda2007-02-17

Date: Sat, 3 Feb 2007 18:58:21 +0900
 1月27日はわざわざ金沢までいらしていただき、ありがとうございました。主催者(の雇われコーディネータ)として、お礼申し上げます。
 会場でも話題になりましたが、風力発電里山運動をしている方にとっても心配の種のようです。
 会場でも質疑応答で話題になりましたが、私としては無事(?)乗り切れたと思っています。今後、環境影響評価を適切に行っていただくよう期待しています。
 さて、翌朝、C教授らと先日視察した場所でマガンを観察しました。やはり湖のどちらかといえば向こう側で、かなり低い高度で飛んでいました。
 シンポジウムの際にも「個体群への影響は小さいのだろうが心配だ」というような発言をされていたと思います。
 福井県の水田があるからこそ、マガンはあの場所にいるはずです。芦原市と協力することが鴨池にとっても必要でしょう。あの観察場所はよい観光スポットになるだろうと言っていました。C教授も湖の向こうの田園風景をたいへん褒めていました。ただ、そのような地域起こしは、よほど人材に恵まれないと(里山保全から見て)うまく行かないとも言っていました。

風力発電施設と自然環境保全に関する研究会

 風発の委員になりました。
 洋上風発も検討するでしょう。その際に、人工漁礁も作って漁業者の合意を得る必要があるでしょう。
 国立公園(陸上)は、特別地域を除けば、今でも作ることができるはずです。

3.16横浜国大風発シンポジウム

Date: Tue, 23 Jan 2007 23:33:29 +0900
下記のシンポジウムを開催しますので、お知らせします。

プログラムなどはこちら

横浜国立大学21世紀COE「生物・生態環境リスクマネジメント」第X回公開講演会

日本における風力資源エネルギーの可能性
−環境への負荷,エネルギー源としての有効性と将来性ならびに採算性を総合的に考慮した合意形成にむけて−

共催:横浜国立大学21世紀COE「生物・生態環境リスクマネジメント」・JSPS科学研究費補助金基盤研究(C)(企画調査)「生態リスク管理の行政事例研究と管理手法の統合」

 地球温暖化の抑制のため風力発電をはじめとする新エネルギーの導入が進んでいます.政府が2002年3月に発表した「地球温暖化対策推進大綱」において2010年度までの目標を300万kWとしました.2006年末において日本国内の設置数は1,000基を越え,今後もさらに増えることが予想されます.
 一方,風力発電事業が進むにつれ,様々な課題も浮き彫りになってきました.
 今回のシンポジウムではその中から二つの課題に着目しました.
 第一に,「採算性と将来性」です.風力資源は無尽蔵で,かつ環境への負荷が少ない有力な自然エネルギー資源といわれています.しかしながら,発電量が風況に大きく依存するため,安定しにくいという特徴があります.その見込みを誤ったことが原因で破たんに追い込まれた事例もあり,事業における将来性と採算性は,事業者のみならず,我々市民も意識することが大切であると考えられます.
 第二に「合意形成」です.全国各地で風力発電事業者と自然保護団体との軋轢が生じています.事業計画を進めるためには,利害関係者間で合意をはかることが重要ですが合意形成はどうあるべきか?という課題は手つかずのまま残されているのが現状です.
 以上のような課題をふまえ,本シンポジウムでは,1)風力発電事業の採算性について技術的・制度的側面から議論し,あわせて,2)事業展開を進めていく上で欠かせない合意形成のあり方について有意義な意見交換をしたいと考えております.
 皆様の参加をお待ちしております.

日時   2007年3月16日(金):13:00〜17:40
場所   横浜国立大学 教育文化センター 大ホール
参加費  無料 (懇親会参加は3000円)