ABCの複数化とは?

http://kaiseki.ori.u-tokyo.ac.jp/~katukawa/blog/2008/08/abc.html#comment-1675
 勝川さんのブログは役に立ちますね規制改革と漁業権制度への「距離感」は少し私と違いますが、具体的に計算して白黒明言される態度から、読者も多いですね。
 さて、2008年08月28日に頂いた業界紙速報さんのご意見で、「小子は、「生物学的」と冠するのであれば、生物学に関することだけで・・・決定するものと思っていました」と言う部分への私見を述べます。資源管理には目標があります。その目標は社会合意で決まりますが、決めた目標を達成する漁獲量は生物学的に決まります。
 これは貯蓄計画と同じです。5年後に1000万円とか目標を決めれば(金利が変動するので不確実性はありますが)毎月必要な貯蓄学は計算できます。それと同じことです。資源回復目標が決まれば、ABCは決まるんです。(桜本さんの記事から、そう読めますか?)
 その後の勝川さんの修正案「社会経済的要因を理由に、科学的根拠をないがしろにした過剰な漁獲枠が設定され、それ故、水産資源の悪化と乱獲(過剰漁獲)の悪循環を助長しているといえる」もそれと同様の趣旨と思います

補足:ABCを複数化しても、毎年都合のよいABCを選ぶようではいけませんね。管理目標は利害関係者で社会的に合意すべきです(ミナミマグロ保存委員会など、多くの国際漁業管理機関ではそうしています)。その社会合意が先です。それなしに複数のABCを決めても、一貫性を欠くTACしか決められないでしょう。