トドの採捕枠について

Date: Tue, 7 Oct 2008 08:07:34 +0900
 トドの採捕枠を改定すると聞きました。私はそれには反対です。行政判断ならば仕方がないが、世界中の批判を浴びて取り返しが付かないことになるだろう(今より悪くなるという意味)【】。
 現在、回復係数Fr*1を0.75としている【】。日本ではトドはVUですが、IUCNではENです。ENなら0.1、VUでも本来0.5のところ、回復しているから0.75としている(環境省【】がVUとした根拠は回復しているからで、根拠を二重に使っていることになります)。今は幸いトドは漸増しているので、今より採捕枠を減らす必要はないと思いますが、まず、混獲数などの実態把握と説明が重要です。このことは繰り返し述べてきました。その後、混獲数についてはどの程度公表されているのでしょうか?【】
 いずれにしても、【】早くPBRについてPeer reviewをへた論文にしておくことが重要です(できていたらお知らせください)。いずれにしても、Fr=0.75が国際的に認められるかといえば、これは疑問です。国際社会で決めるとなれば、0.5ならともかく、へたをすれば0.1にされる可能性さえある代物なのです。【】
 もちろん、これは知床世界遺産の評価にも連動するでしょう。少なくとも、知床でトドを捕獲することは論外になると思います。

*1:採捕枠はPBR=生物学的潜在採捕数=という米国で提案された概念で決めている。PBR=Nmin×Rmax×Fr/2です。Nminは控えめな個体数推定値、Rmaxは最大自然増加率でFr=1なら最大持続漁獲量に収束するとみられる採捕数です。絶滅危惧種については間違いないよう不確実性を考慮し、回復を目指すために回復係数Frの分だけ採捕数を減らします