京大G-COE 第20回パラダイム研究会

日 時:2009年7月13日(月)15:00-17:30 (その後懇親会あり)
場 所:京都大学 東南アジア研究所 稲盛記念館3F大会議室http://www.cseas.kyoto-u.ac.jp/about/access_ja.html
講 師:横浜国立大学・環境情報研究院 松田裕之 先生「健全な生態系とは何か?生物多様性条約は何を守るのか」
コメンテーター: 広島大学 山尾政博 先生
環境問題はグローバルな問題であると同時に,ローカルな問題でもある.なかでも生物多様性は政治的な側面が強い反面,地域の人々の生活に密接に関連する.程度の差こそあれ,人間は生態系の恩恵に頼らなければ,生存できないからである.しかし,人間による干渉が強すぎる場合,生態系が元の恩恵を授けなくなることがある.このような生存基盤の崩壊を,どうやって防ぎ,持続的な発展を行うのか.今回は松田裕之氏を招き,氏が取り組んでこられた水産資源の持続的利用における生態系管理などの具体的事例を織り交ぜながら,健全な生態系とはどういうものか,COP10に向けた最新の動向を含めて解説していただく.特にこれまで,生態学的な資源モデルでうまく扱えなかった生き物の不確実性を組み込んだ順応的生態系管理について,その目指す方向性や,政治的・国際的な側面と地域レベルでのギャップをどう埋めていくのかについて議論したい.
講演要旨:
2010年秋、名古屋で生物多様性条約締約国会議(CBD/COP10)が開かれる。気候変動枠組み条約において、温室効果ガス6%削減が日本に課せられた京都議定書に次ぎ、「生物多様性を守る」ための数値目標の合意に向けた動きがある。日本は議長国として、それをまとめる重責を今回も担う。しかし、それが守る対象、評価基準、行動規範については、気候変動問題以上に混迷を深めている。日本は議長国を買って出ながら、長期的視点がかけている点も変わらない。本講演では、COP10で議論される候補として、?Ecological Footprint、?生物多様性指標、?生態系サービスの3つの指標を取り上げる。