今朝の朝日新聞に参議院定数11ブロック案が載っていた。これだと一票の格差が最大1.191倍に収まるのだと言う。しかし、これは議席数(3年ごとに半分改選)を現行の242から200にした場合の話である。
地方 | 相対人口 | 改選議席数 | 議席あたり有権者数 | |
北海道 | 3811 | 4 | 952 | |
東北 | 6400 | 8 | 800 | |
北関東 | 9521 | 11 | 865 | |
東京 | 8792 | 10 | 879 | |
南関東 | 10795 | 13 | 830 | |
東海 | 10022 | 12 | 835 | |
北信越 | 5155 | 6 | 859 | |
近畿 | 13939 | 16 | 871 | |
中国 | 5126 | 6 | 854 | |
四国 | 2755 | 3 | 918 | |
九州 | 9812 | 11 | 892 | |
総議席数 | 200 | 一票格差 | 1.191 |
格差を最小にする配分方法を考えてみる。上記の相対人口は、新聞報道の議席数と一票格差(東北を1とする)から逆算した。
改選議席あたり有権者数(X)が最小のブロックの改選議席数を1(3年後となので議席数は2)減らし、Xを再計算する。たとえば上記で東北を8から7に減らすと、一票格差は1.13倍に減り、Xは南関東が最小になる。次にXが最小の南関東の改選議席を1減らす。これを繰り返すと以下のようになる。
地方 | 相対人口 | 改選議席数 | 議席あたり有権者数 | |
北海道 | 3811 | 4 | 952 | |
東北 | 6400 | 7 | 914 | |
北関東 | 9521 | 11 | 865 | |
東京 | 8792 | 10 | 879 | |
南関東 | 10795 | 12 | 899 | |
東海 | 10022 | 11 | 911 | |
北信越 | 5155 | 6 | 859 | |
近畿 | 13939 | 16 | 871 | |
中国 | 5126 | 6 | 854 | |
四国 | 2755 | 3 | 918 | |
九州 | 9812 | 11 | 892 | |
総議席数 | 194 | 一票格差 | 1.115 |
これ以上繰り返して中国をさらに1改選議席減らすと、今度は中国のXが最大となり、一票格差は逆に広がる。だからここまでで止める。参院議席数は194になる。
逆に、Xが最大の地方の改選議席数を増やしても、格差は減る。もとの200議席案から始めるとうまく行かないが、四国を4にする(せめて県の数くらいは改選議席を確保する)考えで行くと、以下の解が得られる。
地方 | 相対人口 | 改選議席数 | 議席あたり有権者数 | |
北海道 | 3811 | 5 | 762 | |
東北 | 6400 | 9 | 711 | |
北関東 | 9521 | 13 | 732 | |
東京 | 8792 | 12 | 732 | |
南関東 | 10795 | 15 | 719 | |
東海 | 10022 | 14 | 715 | |
北信越 | 5155 | 7 | 736 | |
近畿 | 13939 | 19 | 733 | |
中国 | 5126 | 7 | 732 | |
四国 | 2755 | 4 | 688 | |
九州 | 9812 | 13 | 754 | |
総議席数 | 236 | 一票格差 | 1.107 |
このときの総議席数は236であり、全国区と合わせた現在の議席数よりは少ない。ここからXが最大の北海道の改選議席を増やすと、今度は北海道のXが最小になり、格差は逆に広がる。だからここまでで止める。
200にこだわり、四国のように少ない議席のブロックを作るよりは、このほうがよいのではないだろうか。
もっと議席を増やせば、より格差の少ない解が得られるだろうが、242議席よりは多くなるだろう。また、ブロックの分け方を変えれば、より格差の少ない解が得られるかもしれない。しかし、ブロック分けはあまり恣意的に変えないほうがよいだろう。
この方法の利点は、人口動態に応じて、格差の少ない議席配分が決まることだ。たとえば180-250までの議席数で格差最小にする解が数学的に求められる。現在のように、議員が自分で規則を変えるときの利益誘導がない。
(小学生、中学生の演習問題にお勧めだ)