自然保護は倫理の問題

Date: Sat, 19 Nov 2011 17:38:43 +0900
 スターン報告などで、低すぎる経済割引率を使っているのは不当である(本来、割引率は市場原理で決まる)という批判が一部の経済学者からあるようです。そうだとすれば、これは実は経済的割引率(金の問題)ではなく、世代間責任の尺度という「倫理の問題」であり、そのうえでの優先順位を決めるための指標なのだと、私は勝手に理解しています。
Date: Sun, 20 Nov 2011 11:46:42 +0900
私の理解を整理します。
・スターン報告やTEEBは割引率を低く設定して「自然保護はPayする」と言っている。しかし、割引率をここだけ低く設定する合理的根拠はない(経済は交換可能なものだから、自然保護だけべつということはない)。
・私は、それでも、低い割引率で「現在価値」を決め、それに基づいて環境保全の優先順位を決める手があってもよいと思います。 それは経済的にPayするかどうかの判定ではありませんが、情緒的な自然保護よりも、より合理的な解を提案できる可能性があるでしょう。
・それは、「経済」か「経済とは別の物差し」かの中間的な主張かもしれません(「厚生経済学」とか「公共選択理論」かもしれないが、よく知りません)。
Date: Mon, 21 Nov 2011 16:02:36 +0900
 物理や数学の答えは一つしかありません。経済学も価値命題ではなく、本来は経済学は現象を分析するものだと思います。その意味では、次世代に配慮した社会選択が行われ、そこに共通の価値評価ができるなら、それは経済学の対象になるのでしょう。
 低い割引率で優先順位を決められるとすれば、その理論を使って価値判断の材料にするというものです。公共選択というのは、その意味では、事実の分析ではないように思います。でもそれは、保全生態学にも共通するかもしれません。