午前10時〜朝倉キャンパス内の人文学部棟5階会議室
「シカの順応的管理と鳥獣保護管理法の考え方」松田裕之(高知大学客員教授)
ニホンジカはかつて激減し、全国的に保護されていた。1990年代になって今度は増えすぎが問題となり、大量捕獲が始まった。保護か管理かをめぐり、全国で論争が巻き起こった。1998年から始まった北海道の道東地区エゾシカ保護管理計画はその先例となり、アジア初の順応的管理の適用事例といわれ、鳥獣保護法の特定鳥獣保護管理計画の先駆例となった。これは国際捕鯨委員会で提案された改定管理方式をモデルとしたものである。その後、知床世界遺産地域の最奥部である知床岬でも大量捕獲が実施されている。水産学で培われた順応的管理が保護と管理を使い分ける今日の鳥獣保護管理法にどう生かされているかを紹介する。