Date: Thu, 13 Aug 2015 05:56:25 +0900
科学委員の皆さん
簡単に【8月8日開催ヤクシカWG・ヤクシカ特定計画検討会合同会議におけるヤクシカの現状についての】私の理解を説明します。以下の資料は8/7のヤクシカWGの資料番号です。
- おととしまでの糞粒法から糞塊法に変えた。糞塊法は生息数の絶対数や絶対密度を推定する方法では「ない」ので、昨年まで出していた生息頭数の推定値(17300頭、95%信頼区間の上限27500頭、資料2-1-2参照)などに対応する推定値は出せない。
- 並行して糞粒法も調査点数を減らして継続しているが、28300頭(上限46400)と大きな数になっている。ただし、おととしとは調査点数が異なるので単純に比較できない。
- おととしの推定値も、去年と同じ調査点だけから再計算できるが(載っていないが)【】調査点数が少なすぎて信頼に耐える推定はできない(実は、去年糞塊法に変える段階で、この計算はできたはずである。そうすれば、調査点数を減らすことがどれだけ危険か予見できた)。
- 以上から、単純にはヤクシカが去年さらに増えたように見えるが、WGでは推定の信頼性を疑問視し、そのような結論は出していない(資料1)。かといって、横ばいとか、減っているともいえない。つまり、生息数が増えているか減っているか、皆目分からない状態になった。
- 糞粒法と糞塊法では、山岳部が麓に比べて多いかどうかも結果が異なる(空間的な相関が低い。資料2-1-1)。したがって、両者の結果を読み替えて長期データとして利用することは難しい。(ただし、糞の分解速度は気温、ひいては標高で大きく異なる。糞粒法ではそれを考慮しているが、今回の糞塊法では考慮していないという説明だった。これは今からでも考慮して補正できるだろう)
- 捕獲数はおととしの4500頭から去年は5200頭(雌3000頭)へとさらに増えている(資料3-2)。大半は麓でとっているので、麓で減っていればこんなに捕れないはずだが、現実に捕れている(今年捕れなくなったとしても、山岳部にたくさんいるから楽観できないというつもりでした)。島全体は閉鎖個体群で、自然増加率はせいぜい年20%と私は思います。18000頭なら4000頭とれば減るはずです。5000頭とっても減らないとすれば25000頭いる計算になります。それならば、現在の捕獲体制ではとって減らすことはできないなどという議論をしたかったのですが、現状不明のため、当分様子を見ることになるでしょう。糞塊法も糞粒法も推定誤差があるので、来年減ったとか増え続けているとは即断できない恐れが高いです。つまり、現状でよいかどうかの判断は当面先送りになる恐れがあります。
- 調査方法を軽々に変えるべきではないという意見はほかの委員からも出ました。しかし、後の祭りです。予算を増やし、糞粒法の調査点数も元に戻すならば、来年はまだ何とかなるでしょう。
ということです。(不正確かもしれませんので、議事録が出たらまた回覧してください。また、補足や修正ありましたらすぐにご意見ください)
WGでは、おととしと比較できなくなったことがどれだけ深刻な事態か、よく考えてほしい、糞粒法と糞塊法の結果が比較できないと平然と報告していただきたくないと申しました。