風力発電は順応的管理に適した「可逆的」事業

Date: Thu, 1 Sep 2016 17:29:32 +0900

  • 順応的管理(最初から予防的に避けるのではなく、稼働しながら監視して、リスクが高いことがわかれば稼働制限などの対処をする)のほうが有効でしょう。 
  • 稼働制限は収益低下につながりますが、ある程度は可能と思います。それをEIA(環境影響評価)段階で取り入れることで、予防的に避けるだけが保全措置ではないことを示すことができるでしょう。風力は、設置自体の影響(土地改変、工事中の騒音、景観)よりも稼働に伴う影響(騒音、鳥衝突など)が比較的問題となる事業なのが特徴で、順応的管理がやりやすい事業です。ただし、費用のほとんどが設置費用で、稼働費用はあまりないですから、稼働制限が多いと事業採算性が大変ですが、万一の場合はどこまで稼働制限できるかもある程度計算できるでしょう。
  • 景観は目立つかどうかを議論するより、本来はより根源的な問い(脱炭素社会に必要なものとして受け入れるかどうか)が重要です。社交に背広ネクタイが必要と思い続けていたら、クールビズは育ちませんでした。景観が主な理由で立地できないことがCO2削減にどの程度影響するかがわかるでしょう。

Date: Tue, 30 Aug 2016 16:35:58 +0900

  • 景観は価値観の問題です。ドイツやスペインにハイキングに行ってみていただきたいですね。これが日本で無理なら、陸上風発をたくさん作ることは無理でしょう。

Date: Wed, 31 Aug 2016 04:30:39 +0900

  • 福井県「あわら」風発の例は、最初から鳥が近づいたら止めることで設置が「合意し」設置されました。しかし、実際にはずっと止めていたわけではありません。2年目は監視方法を変え、3年目は止めずにビデオ撮影しました。近づいたら止める措置を続けていれば、風車が動いていても鳥が回避することは証明できません。【逆に風車を動かして繰り返し衝突すれば、危険であることがわかります。たしかに犠牲は伴いますが、証明しながら方策を改めるのが順応的管理です。そして、あわらでは今まで1羽も衝突報告がないという実例があります。】そのため、上田恵介さんを座長にした検討会を3年行い、シンポジウムを行い、ようやく監視措置を解除しました(講演記録のP16-19)。鳥が来る季節や時刻にずっと止めていれば、これは証明できなかったでしょう。