本来の風力の環境影響評価とは

Date: Sun, 30 Oct 2016 23:23:39 +0900
風力発電のEIAですが、再生可能エネルギー推進との兼ね合いから、以下のことが必要だと思います。
1)風力発電の増設目標、それを達成するためにどこにどれだけ建てたらよいかの基本的な考え方。
2)風発の環境影響について、騒音、鳥衝突リスク、景観などの定量的な許容限度(これらの影響はゼロにはできません)
3)1と2が相反する場合の、トレードオフを解決するための調整原則
たとえば、
1)日本風力発電協会は陸上風発を2030年度までに26GW、50年度までに38GWという目標を掲げています。私見では、パリ協定を達成するにはこれが最低水準と思います。2015年度までに認可された風発は10GWだそうです。全体として、現在の3倍近く30年度までに必要ということです。
2)騒音は住宅地のそばに建てると影響は避けられません。鳥衝突リスクは、地域個体群の存続が保証されることが必要と思います。
3)これらが矛盾する場合には、風発以外の気候変動対策の一層の推進、風発による鳥衝突リスクを代償する保全策などが検討すべきでしょう。

しかし、実際の風発のEIAでは
1)環境省は風発の設置目標を持たずにパリ協定を唱えている
2)鳥衝突リスクも個体群の存続などの許容水準がなく、風車の設置取りやめなどを担当者が主観的に意見を述べている。それを環境省地球環境局も認めている。
3)1と2のどちらの目標もなく、そのトレードオフの解決という発想そのものがない
では、どのようにして環境大臣意見が述べられているかといえば、事前に事業者と折衝し、事業者が容認した内容ということのようです。当然、事業者が本当に認めるはずはありません。要するに、事業者が我慢しそうなギリギリの線を、環境省が得た感触から判断しているということです。
 事業者は事業採算性により判断します。地球環境と希少鳥類の保全の両立という総合的な視点ではない。それを考えるのが本来の環境省の役割のはずです。
 日本の環境影響評価は腐っています。