里海学のすすめ(勉誠出版)

Date: Mon, 7 May 2018 16:02:46 +0900
鹿熊信一郎・柳哲雄・佐藤哲編「里海学のすすめ 人と海との新たな関わり」拝受。ありがとうございます。
以前,里海は本当に生物多様性を(自然状態に比べて)高めるのかと議論したことを改めて思い出しました。
 2006年に以下のようにBlogに書きました。【】確か能登で柳さんと飲んだ時に(これがいつの時だったか忘れました),私がそう書いていることを既にご存知でした。「ではなぜ反論しないのですか」と問うと,「証拠を(しっかり)そろえてから(反論する)」とおっしゃっていたと記憶しています。
 そのあと,佐藤さんと石垣の白保に行ったときに,佐藤さんが「海垣(いんかち)は生物多様性も高めている」とおっしゃって,それを柳さんに紹介した【】。これらの逸話は,大変僭越ながら,柳さんの科学者としての誠実さを物語っていると思いました。
 生物多様性を野生状態より高めることを里海の条件にすることには同意しませんが,少なくとも人手が入った漁場としては多様性も高くなっている(下記のチリのGelcichらの論文参照)というのは,定義に入れてもよいと思います。
Gelcich S, Godoy N, Prado L, Castilla JC (2008) Add-on conservation benefits of marine territorial user rights fishery policies in central Chile. Ecol. Appl.18:273-281
 1月に佐藤さんとマラウイに参りました。マラウイ湖のChilunduと呼ばれる海底構造が豊かな漁場になるという経験知から,【人工的にChilunduを作ろうと】しています。これも柳さんが見たら垂涎の里海(湖)だと私は思います。
 じっくり読ませていただきます。