新型コロナ、参考になる2つの記事

2020/3/22 中沢さんのサイトを見ると丁寧に書いている。【日本は唐木さんが説明した集団免疫を目指していないようです。】

2020年3月17日 11:36

 COVID19対策についてはいろいろ言われていますが、たとえば進化生態学者の矢原徹一さんのサイト(特に、不特定多数の人が触れる場所の例)も参考になるでしょう。

「不安」は大敵、科学的知識で感染リスクを減らす。 (矢原徹一氏:JBpress 2020/3/17)

また、以下の論座にある説明を私は大いに参考にしています。

新型コロナ「収束のカギ」にぎる集団免疫とはなにか(唐木英明氏:論座2020/3/15

Twitter 午前11:22-24 · 2020年3月17日

 キーワードは「集団免疫」。「要するに、2週間様子を見た結果、爆発的な感染拡大には進まなかったのだ。…そうであれば、所期の目的を達成したのであり、社会的な混乱の急速な拡大を避けることも考えて、自粛をそろそろ緩和してもいいと考えられる。」

メルケル首相は物理学の博士号を持ち、英国政府は科学顧問ポストを設置して科学アカデミーと強く連携している。ドイツと英国が、いち早く科学的根拠を取り入れた新型コロナ対策を実施したのは、そのような背景によるものと考えられる。」

 

 

Future Earth 日本サミットでの議論

「野生動物の殺傷を減らす」べきかどうかについての論点を私なりに説明します。

  1.  生物多様性条約の3原則は、①生物の多様性の保全 ②生物資源の持続可能な利用 ③遺伝資源の利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分です。 野生動物も生物資源であり、その持続的利用は推奨されていると思います。しかし、条約の当初の理念と実態が乖離することは歴史的にありえることですし、Future Earthのような民間組織が国際条約の原則を超えた理念を掲げることもあり得ることでしょう。
  2. 野生動物には(獲る漁業の)水産物も含まれます。陸上野生鳥獣(+両生類)を利用すべきではないという見解よりも強い見解ですが、Veganならそれは承知でしょう。

  3. 日本を含む世界では、陸上野生鳥獣は駆除されています。ニホンザルだけでも年間1万頭以上が【捕獲】されている*1。【外来種扱いの】ノイヌノネコも駆除されています。それを殺傷すべきではないという意見はありますが、現実的ではないでしょう。野鳥を捕食するノネコの扱いは欧米でも「動物愛護派」と「野鳥愛好家」の間での論争の的です*2。そして、欧米の言説も多様であり、時代とともに変化してきたし、これからも変わり続けるでしょう*3

  4. スリランカでは、ゾウの】駆除も利用も非合法ですが、村落を襲うゾウは実際に駆除されています。住み分ければよいといっても、駆除しなければ彼らは居住地や農地に侵入し、人身被害さえ起こします。知床のウトロでは集落のほうを電気柵で綿密に囲っていますが、それでもヒグマによる被害はゼロではなく、札幌では広大な市街地がヒグマの出没地域になりつつあります*4。欧米の都市ではそれほど聞きませんが、インドでも大都市に「人食い虎」が出没するようです(ヒンズー教徒はそれを許容しているかもしれないが)。むしろ捕殺することで彼らも人間を警戒し、共存しやすくなるでしょう*5

  5. 捕殺するなら利用し、生態系サービスとして経済価値を持たせたいと私は考えますが、それが乱獲につながるとする意見もあります。【】利用の是非は具体的にその種が置かれた状態にもよるでしょう。しかし、一般論として殺傷を減らすというのはかなり強い意見だと思いました。それは私が目指す道ではありません。 

12月の「Future Earth日本サミット」という非公開行事で参加者全員に配布された文書に「 野生動物を殺傷することなく人と動物が共存するにはどうしたらよいか?」という「課題」が載っていました。それは地球研のサイトにある文書からも確認できます。しかし、これはFuture Earthの見解ではないという【後日の】説明でした。

第2回MEL協議会ワークショップ 座長コメント

第2回マリン・エコラベル・ジャパン協議会ワークショップ
「世界で輝く日本の水産物を目指して」MEL公式サイト

座長コメント
横浜国立大学 環境情報研究院 自然環境と情報部門 教授 松田 裕之)

1. 我が国の豊かな自然や文化、産業の多様性に資する独自のエコラベルの必要性、ならびにFAOガイドラインに則った欧米的な認証と我が国の認証との類似点と相違点を認識しました。

2. 責任ある認証審査のさらなる質の向上に向けて、水産エコラベル認証審査支援システム(MuSESC)の活用が有効であることを認識しました。

3. 科学者の視点から、研究者は、現場主義に則り関係者と協働するとともに、現場と研究者、グローバルとローカルを繋ぐ役割を担っていることの重要性を認識しました。

4. 国際標準化されたMELとして、責任あるスキームの運営、ならびに認証審査と判定を継続し、アジアをはじめとする世界に発信していくことの重要性を認識しました。

5. 生産者の視点から、現場での漁業者と養殖業者による責任あるかつ持続的な水産業に向けた当事者としての自覚、課題と取り組み、将来の展望について理解を深めました。

6. マーケットの視点から、国内外の市場より求められる水産物の基準、ならびに持続的な水産物の促進に向けた企業の責任や役割について理解を深めました。

7. 消費者の視点から、消費者に選ばれる認証水産物の基準、ならびに消費者によるSDGs達成に向けた役割の重要性を認識しました。

8. 以上の認識に基づき、我が国の生産者による現場での取り組みを、認証機関やスキームオーナーは責任を持って審査、判定し、科学者等の関係者は改善に向けた助言を行うことで、水産エコラベルの普及を通じて持続可能な社会に貢献していきます。

9. 国内外で受け入れられる社会的な価値を有する水産物として、従来の美味しい、新鮮、経済的に加え、環境に優しい、さらには健康的な水産物の提供を推進していきます。

10. 我が国の持続的な水産資源の利用に向けて、生産者から加工、流通、市場、小売店を経て消費者までのネットワークを、One Teamとなって取り組んでいきます。

以上

 

注)本コメントは、松田座長と登壇者の認識の下で作成、公表させていただいたもので、
ワークショップ参加者全員の総意ではない旨を申し添えさせていただきます。

ヒグマとの共存:「仲間」でなく「恐れあうことで初めて共存できる」

松田Twitter 2019.12.6
ヒグマとどう共生するか:北海道新聞 どうしん電子版 「人とクマは仲間として共存」クマの駆除に反対する人の共通認識のようだ。結局、それが人を恐れないクマとクマを恐れない人を作り出してきた。

Twitter2019.12.6  知床のクマを追い詰めるカメラマンの至近距離撮影 - 松田裕之|論座 - 朝日新聞社の言論サイト 「人をクマは仲間として共存できない、互いに恐れ合うことで初めて共存できる。」共存を望む点では同じだが、根本的な認識の差がある。

twitter2019.12.6  「先住民の大地」を奪う「自然保護」とは 岩井雪乃著『ぼくの村がゾウに襲われるわけ。』 「彼らの中でも、ゾウのほうが先住民より大切だと言い切る人はごく少数だろう。では、著者自身が現地を見て変わっていったように、本書を読めば彼らは考えを変えるだろうか。そういう人も多いと思うが、そうでない人も少なからずいるように思う。」まずはご一読を勧めます。

朝日『論座』イルカショーと伊豆半島ジオパーク

標記拙文の補足です。

 

伊豆半島イルカ漁再開問題

Date: Tue, 12 Nov 2019 11:53:17 +0900

ある捕鯨学者によると…
 漁業としての追い込み漁は、大群を狭い港や入り江に一気に追い込むため、群れがパニックを起こして、実際の捕獲(水揚げ)頭数以上に動物が死んでいる、非捕獲個体を後から放獣してもストレスで死ぬ可能性が高い、などとの批判がある。
太地町や伊豆は、「生け捕りに特化した追い込み漁を行う」との方針をとる。
しかし,「日本の伝統的な漁業」というだけでは,理解されない。
(引用ここまで。要約文責松田)

 結局,欧米の水族館は飼育個体も含めて,イルカショー自体をやめる方向に向かうようだ。Seaworld記事
 菜食主義が日本で一向に流行しないように,国内では捕鯨反対の声は環境団体でもか弱い。しかし,「触らぬ神に祟りなし」ではなく,もう少し積極的な扱いをしてもよいかもしれない。
 動物愛護も,思想として未熟なのだと思います。(野生動物管理もですが)
・ノネコや餌付け猫では根本的な問題を引き起こしています。(松田書評
・札幌市街地のクマを捕殺すると全国から抗議が殺到します。(松田論座

Date: Wed, 20 Nov 2019 19:33:14 +0900
野生動物を利用してはいけない、というだけでは、問題は解決しないと思います。そして、イルカ追い込み漁自体も生け捕りに限るところがあるなど、過渡期にあります。イルカショーに限らず、捕獲した生体の需要はそれなりにあるそうです。