私の水産研究所での出張不許可の体験

 実際に、先方から声がかかり、上司や所長が認めてくれたのに、職場の事務方が認めずに出張などが出来なかった実例が、私の場合何度かある。
 私が水産研究所に務めたのは1989年、32歳の頃だった。赴任してすぐに静岡大学から非常勤講師の依頼が来た。上司に相談すると認めてくれ、決済に回っていた、はずだった。水研では決済に10人以上の判子が必要だ。その起案書類がどこかに紛れたらしく、後になって兼業が拒否され、静岡大学は大いに困った。結局、土曜日に何度か静岡まで出張することでやっと対応できた。
 2度目は確か科研費の会議に先方負担で招待された。所長が認めたにもかかわらず、事務方が頑として認めず、結局出張できなかった。
 危なかったのは留学だ。米国ミネソタ大学が滞在費と旅費を全額負担するAll guarantee待遇だったが、赴任先での職務が水研と無関係だとして危うく止められそうになったが、何とか上司が説明して留学できた。
 今、私は水産庁などから依頼された委員などの兼業を数件抱えている。勝手な研究ばかりしていたと事務方に疑われたのは、誠に遺憾である。