ある事業担当者への書簡

Date: Thu, 26 Jan 2006 08:50:19 +1200
○○さん
 【】たしかに、この事業を○○が行う場合、自然再生法の釧路湿原並に○○の目玉として鳴り物入りで取り組むことになるような気がします。【】私は、むしろ決意だけ残って予算が半減するような「インパール作戦化」することを心配しています。
 ○○は難題山積のようです。【】むしろ、「成功」と言い張るために生態系保全の理念を曲げてしまうのではないかと心配しています。
 エゾシカは一旦個体数減少に成功したものの、目標の半減ができない。国有林で捕獲できなければ失敗を宣言すべきだと3年前から主張し、去年は力点を道東から道央に移しました。【】今年ようやく林野庁は週末の国有林内狩猟を認めました。それと豪雪の効果に期待しています。科学者が成功する条件を示さないと、行政も動かないと思っています。
【】
 不可能とわかれば諦めるのは科学的必然です。諦めないには、条件が必要です。その条件を満たすようにするのが行政手腕です。その条件を明らかにするのが、科学者の役目です。一見不可能に見えることでも、工夫次第で可能となったり、採算が取れる(行政を説得できる)ことがあります。○○はそういう工夫の一つだと思います。
それを不確実性を背負うリスク管理として行うというのが、これからの生態系管理のやり方です。ビジネスでも、同じことです。どちらもモラルが重要というのは、ジェイコム株騒動のときから私が主張していたこと。
 作戦名は決めましたか?私としては 「責任と科学」 見たいなノリがいいです。お金も重要ですが。