エゾシカはまだまだ増えるか? 

Date: Sun, 15 Jan 2006 14:14:45 +0900 (JST)
松田です。 意見の違いは違いとして、科学的に論証できる方法を提案する形で議論を進めませんか。

  • 世界遺産地域で密度操作実験を行うことも、100m2運動の現在の方針と異なることを承知で提案したのであり、今後の対話を進めているのです。科学委員会がある結論になったら同意できないと初めから言われては、科学的な議論はできません。ただし、科学委員会の結論がそのまま方針になるのではなく、あくまで地元が合意することが大切です。
  • 「楽観的にこれ以上の高密度化はないと見るか、悲観的に今後もシカは増え続け、越冬地は拡大し続けると見るかです。」という【】提案は重要です。いわゆる環境収容力(その個体数で維持される)でなく、どこまで増えて個体群が崩壊するかの上限はある程度予測すべきでしょう。【】私も新たな越冬地が増えるとか、面積が増えるとは余り考えていませんでしたが、現場を知る皆さんのご意見はいかがでしょうか?では、今以上に増えないかといえば、まだまだかなり増えると思います。つまり今の密度が長期間維持されるのではなく、今後も各越冬地の密度が増え続けると思います。知床岬は既に崩壊が起きていますから、上限が漸増するとしても、今よりさらに著しく増えるとはいえないでしょう。では他の越冬地がどうかといえば、私はまだまだ密度が増えると思っていましたが、そうではないのでしょうか?というわけで、「楽観的にこれ以上の高密度化はないと見るか、悲観的に今後もシカは増え続け、越冬地は拡大し続けると見るか」という【】選択肢は、私の予想と少し違う(増え続けるのに越冬地の拡大が必要か?)のですが、いかがでしょうか?
  • 「岬地区と他の海岸線に点在する希少植生群落の保全については、地区別に考えるのではなく総合的な地域植物群落の管理方針が必要」なのはよいですが、希少植物種の個体数と減少率が大雑把でも推定できるでしょうか?個体数は難しいでしょうが、生育地点数とその減少率のようなデータがそろうでしょうか?また、将来鹿が減るとして、シカ食害を免れるrefugiaや柵からの回復過程を検討すべきでしょう。広域の柵を作れば個体群の回復は期待できますが、狭い範囲で維持しても、回復にはかなりの年数がかかると思います。
  • 「したがって仮に100%放置しても、知床の山全てが大台ケ原のようにスカスカの坊主になり、【】羅臼の漁業に影響が出るような土壌浸食は発生しないだろう」という【】意見に対して、皆さんのご意見をお聞かせください。
  • 「長期的管理方針としては低密度にシカを叩き続ける方針でなく間引き後の回復を許し、何かの基準を持ってまた叩くという方針」というご意見ですが、密度操作実験による植生回復を検証することが目的ならば、ある程度低密度に維持することが必要だと思います。先日の質問のように隣接地からの移動があるならば、数年間は捕獲し続けなければ、低密度に維持し続けることはできないと思います。また、1年の捕獲で目標とする低密度が達成できるという保障はありません。
  • {「全体」を「認識」する過程で「社会的側面」を科学的に評価するプロセスを含むことはできないでしょうか。}合意が難しいかどうかを科学的に評価することにはならないと思いますが、社会的に合意した目的に即しているかどうかは議論すべきですし、その実施が経済的、法制度的、物理的に可能かどうかも科学的に評価すべきだと思います。「100m2運動は捕獲に賛成しない」「羅臼町民はシカ放置に賛成しない」という意見を主張し、それに即した意見を科学委員会が述べろといわれても、それは無理だと思います。科学委員会としては、放置した場合に何が起こるか、自然植生を維持するにはどうしたらよいかということを科学的に提案する(ただし、これは仮説に基づくものであり、花粉分析による今後の立証が必要である)ことが役割だと思います。

皆様のご意見をお聞かせください。