シカの個体数がわからないと管理はできないのか?

Date: Mon, 23 Mar 2009 19:39:51 +0900
 個体数は他の鳥獣や魚に比べれば解っているほうだと思います。しかし、当然不確実性は高く、よくわかっている道東のエゾシカでも、13-26万頭で、2倍の誤差幅があります。
  だから管理できないという哺乳類学者は今はほとんどいません。特措法の議員対応でシカ、クマ、イノシシ、サルの個体数を無理やり【推定する】事業【にかかわって】いますが、「議員さんには困ったものだ、個体数がわからなければ管理できないと思っている」と話しています。順応的管理の導入後、目的は一定数に維持することではなく、一定の幅に収めることです。だから、確実に減らせるだけ獲ればよいのです(1998年導入時は、獲りすぎも心配しましたが、今は誰もそんな心配をしていません)。逆に、減らすことができれば、個体数は上記程度の誤差で推定できます(減らすことができなれば、誤差はもっと多い)。

Date: Tue, 24 Mar 2009 10:07:10 +0900
 重要なのは、絶対数ではなく、増減です。1km2あたり10頭以下なら、密度も重要ですが、それ以上なら、20か100!かはわからないでしょう。しかし、減らすことができれば、その管理計画には希望が持てます。多くの場所では、獲っても増え続けています。これでは解決になりません。
 減らすためには、1万頭とすれば×15%=1500頭以上獲らねばなりません。絶対数の上限が必要ですが、道東ではわからなかった。とりあえず、思い切り獲れるだけとって減らせるかやってみただけです。減ったから、絶対数の上限がわかった。今は獲れない部分(国有林、猛禽生息地)にシカが密集しているので、そこで取れない限り、諦めようというのが私の方針案です。
 個体数(の上限)が判らなければ管理しないというなら、野放しになるでしょう。それは順応的管理ではありません。道東管理も、最初は猛烈な批判が飛んだが、結局、誰も反対するものがいなくなりました。
 ヤクシカは1.5万頭以下と推定しました。植生の残り具合と500km2という面積から考えて、それ以上いるとは考えられない。そのうち植生の壊れた西部に最大1万頭いるでしょう。ヤクシカ全体を減らすためには、今の公式の捕獲数(300)の5倍以上獲らないといけません。ヤクシマは急峻で狭い範囲だが、閉じているので、およその数はわかります。
 密度が減ったら、個体数を数えるより、自然植生の回復度を指標にするつもりです(それがうまくいくかどうか、知床で議論し、確かめようとしています)。しかし、密度が高いうちは、被害が激甚すぎて(しかも、今の個体数でなく、積分で効く)、植生や土壌を見てもよくわからないでしょう。
 まず思い切って捕獲して減らすことです。増減なら、同じ方法でモニターすれば、ある程度わかります。