Date: Fri, 7 Jan 2000 17:00:36 +0900
通産省 ○○様 祝 名古屋グランパス天皇杯優勝
お気付きの点があれば連絡ください.事実誤認などは事前に訂正すべきです。
松田通産省万博環境影響評価検討会への意見
2000年1月7日 松田裕之
要旨
1)登録申請の期限について、明確な説明をお願いします。
2)環境影響評価は、最低1年間の調査を経て行うべきです。
3)報告書案に「博覧会協会の判断は概ね是認できる」とあるのは納得できません。
4)誘致した時点での計画案から第I案、第II案に至る過程が環境保全措置に即したものであることを明記すべきです。
5)オオタカの古巣が合った場所を営巣可能地と認めるべきです。
6)主要施設地区の面積が1/4程度の影響低減と言う表現は妥当ではありません
1)登録申請の期限について、明確な説明をお願いします。
12/22の検討会で99年12/17付朝日新聞記事にあったBIE事務局長へのインタビュー記事の真偽について、通産省からのお返事をまだ聞いていません。あの場で、博覧会協会からは「(事実かどうか)知りません」というお返事でした。記事によれば、事務局長は万博登録の期限について、今年「6月の登録は愛知県側の予定であって、BIEとしては関係ない」と答えています。また「国際的な自然保護団体に対しても、環境保護が図られていることを説明するよう、通産省を通じて日本の当局に申し入れているところだ」とも述べています。もしこれらの指摘が事実なら、調査がきわめて不十分な段階で評価書を出すべきではありません。今までの評価書の是非に関する議論は、すべて期限が迫っているという前提でおこなわれてきました。22日の検討会では、科学者は新聞記事を信用するものではないと○○は仰いました。私も同感です。協会の「知りません」というお返事で十分かと思いましたが、上記記事の「当局」が協会でないとすると、協会が知らない可能性が残されます。ですから、上記の内容は事実無根であると、評価会の場で通産省が言明し、議事要旨に残していただきたいと思います。
2)環境影響評価は、最低1年間の調査を経て行うべきです。
いずれにしても、計画変更から評価書提出までの時間が短すぎ、調査が極端に不足しています。少なくとも、自然環境への影響は、四季を通じた調査が欠かせません。現時点では多くの項目が「0」とか「+」とか「−」と判断することができません。それを「0」と見なしたり、今後の計画熟度を高める際に注意するから「+」と見なすことは不適当です。より長期の調査を踏まえて評価すべきです。計画変更によって環境への影響低減が評価書において示されたとは言えません。
3)報告書案に「博覧会協会の判断は概ね是認できる」とあるのは納得できません。
12月22日の評価検討会では、今回の評価書は計画変更後、実質2、3ヶ月しか調査できない段階で書かれており、海上地区の調査をハンドボールの大きさとすれば、青少年公園地区等のそれはゴルフボールかソフトボール大でしかなく、本来ならもっと時間をかけて評価すべきことが指摘されました。そのため、「計画変更により影響が低減することが評価書において明らかになった」とは言えないとする意見が少なくとも3名の委員から出されました。ただし、必ずしもそうではないとする意見や、アセスをやり直す必要はないとする意見も出されました。【以下略】
4)誘致した時点での計画案から第I案、第II案に至る過程が環境保全措置に即したものであることを明記すべきです。
何度もお願いしているように、誘致案が非現実的だとか、協会設立前の案というと言う理由で計画を変えることは無責任です。少なくとも環境への配慮が軽視されていないことを評価書において示すべきです。
5)オオタカの古巣が合った場所は営巣可能地と認めるべきです。
この議論はまだ終わっていないと、22日の検討会で座長も仰っていました。営巣可能地の消失面積を予測することは調査項目に明記されています。営巣可能地の予測手法が未確立だとすれば、過去の古巣こそもっとも信頼できる営巣可能地の候補のはずです。そこが改変されることは明記すべきです。
6)主要施設地区の面積が1/4程度の影響低減と言う表現は妥当ではありません
評価書のどこを見ても、主要施設地区面積の1/4の低減は影響評価の対象となっていません.自然系で最も定量的な評価ができるのは注目植物の消失個体数ですが、評価書777頁には、主要施設地区の造成による改変のごく一部(万博による独自の造成)しかみえません。806頁の地域整備事業による改変をみても、主要施設地域で一体どれだけの影響低減が図られたかは評価書に載っていません.1107頁のオオタカの主要餌生物の場合も、両案で改善は全く見えません.もともと、直接改変の影響は微々たるものであり、1130頁の関連事業の影響は約10%になる可能性も示唆されています.これも、両案での比較は示されていません.24日の検討会で再確認した通り、評価書はあくまで本事業による直接改変と間接的な影響を評価したものであり、評価書とは異なる価値基準での影響低減は、評価書において影響低減を示すと言う趣旨にそぐわないものです。
今回の評価書はいわば、脳死判定を大幅に省略して臓器移植を行うに等しい、あるいは、臨界事故の前にJCOの裏マニュアルを見過ごすに匹敵する暴挙です。手抜きは努力不足でなく、計画変更からあまりにも時間がなく、青少年公園などの計画熟度が低すぎるために生じました.しかし、だからといって手抜きではないと言うことは許されません.今回の評価書を概ね是認できるとすることは、これらを認めることに等しく、今後の日本の環境行政に与える負の影響は限りなく大きいでしょう。
かりに、環境影響評価が臓器移植や原子力行政ほど重要でないとしても、科学者としてこの評価書の判断を是認できると述べることは適当ではありません。
Date: Wed, 26 Jan 2000 11:37:42 +0900
通産省の○○様 c○○先生
昨夜の森嶌先生のニュース23拝見しました。そのとき、森嶌先生も強調していましたが、もしも新住との連携を見直すということなら、BIEに言われたからではなく、あくまで自主的に変更したという姿勢が必要です。 通産省が改めてBIEに真意を尋ねると言う報道もありましたが、多分嘘だと思いますが、これは野暮の骨頂です。BIEは「善意」で非公式に助言したのであり、総会前に公式の見解を求めるべきではありません。日本人ははっきり言わないとわからないだろう(これって皮肉なことです)ということで、あれだけのことを非公式に言い、年末に朝日のインタビューにも答えたはずです。
計画変更・跡地利用との切り離しは、あくまで日本の自主的決断としないといけません。そうでないと、どんなよい計画を作っても信用されず、総会で否決される恐れがあります。(あの報道が出た後では、もう遅いかもしれませんが)【】
いずれにしても、5年前の登録はBIEの期待(もともとは要請)であるという○○さんの説明は、約束どおり、議事要旨に載せてください。