は北海道より狭かった。

Date: Sun, 19 Mar 2006 13:33:11 +0900
○○さん c○○さん
 ご意見有難うございました。気になったので、少し計算してみました。
 屋久島は約500km2、そのうち鹿の生息可能な地域を求めるべきですが、不明なのでざっと250km2とします。大半の地域は、激甚な林床破壊は起きていませんので、密度は数頭/km2ていどでしょう。密度10頭を超える地域は限られていると思います。つまり、せいぜい2500頭くらいでしょう。 超過密地域が問題ですが、密度40頭がたとえ100頭でも、面積が50km2でも、それだけで5000頭です。 これをあわせると、7,500頭にしかなりませんね。将来もしも超過密地域(たとえば40頭/km2)が全島に広がれば1万頭を超える可能性はあるでしょうが、3万頭というのは全島的に密度100頭以上になることで、もしそうなれば島全体が丸裸になるでしょう。
 すいません。北海道と面積の差を自覚していませんでした。密度で実感したほうがよかったですね。 ということは、1970年代に1000頭(平均で4頭/km2)というのは少なすぎることはないのでしょう。自然増加率を13%とすれば、三百頭獲って減ったとすれば500頭くらいだったと思います。おそらくそれ以下にまで減ったのでしょう。
 しかし、1970年頃に1,000頭以下、現在5000頭以上とすれば、年率5%の増加が35年続かないと説明できません。①過疎時代の自然増加率は年5% かつ ②最近10年間はそんなに増えていない という仮説の両方が成り立つことはないでしょう。 
 他方、西部林道の増え方から見て、年率10%程度とすると、1970年頃に500頭以下からはじめて1990年に1万頭弱に達します。そうだとすれば、それ以降はほとんど増えていないということになります。 つまり ①過疎時代の自然増加率が年13% で ②現在もなお密度効果なしで増え続けている という私の仮説も、両方が成り立つとはいえません。
 そうすると、正解はその中間にあると思います。西部林道の増加率14%だとして(周囲から集まっていれば、過大評価)【これ】が最大増加率だとすれば、○○さんの言うとおり、密度効果はすでに働いているのでしょう。 しかし、減っているところはほとんどなく、この10年間でまだ顕著に増えているところはあると思います。 増えていないところも、子供が移出している可能性があると私はおもいます。

Date: Mon, 20 Mar 2006 21:49:54 +0900
○○さん c○○さん お返事有難うございました。
【】

西部林道域の高密度地帯を60km2として、密度を40頭/km2とすると40*60=2400頭その他に屋久島全島440km2に、密度10頭/km2として10*440=4400頭 合計6800頭にしかなりません。【私の推定した個体数が私自身の計算結果に比べて「上乗せ」されているのではないかという指摘】

 いえ、私は上限を言ったまでです。控えめに数えれば、上記よりさらに少なくて、島全域のうち200km2に5頭として、3400頭くらいという可能性もあるでしょう。おそらく、過密地域にはもう少し多いとは思いますが、
 密度の積み上げとは別に、はたしてその程度で収まると思うかどうかは、わかりません。ひょっとすると、鹿、猿、人各1万という感覚的な数字が一人歩きしているかもしれません。
【せいぜい5000頭から10000頭というのが概ね妥当な範囲ではないかという指摘に対して】 そうですね。これからもっと増えるかどうかは別にして、上記の数字は私も現実的だと思います。せいぜい、4000-15000でしょう(40頭と60km2がたしかなら、上限はもう少し少ないでしょう)。2万頭は現時点ではあきらかに多すぎるように思います。
【】 減ってくれば密度効果はなくなり、年5-13%程度の増加率が回復するはずです(今でも、5%程度あると思っていますが、13%で増え続けているとは考えづらいです)。それがいつの時期かはわかりませんが、
1)1965年当時の個体数よりは今のほうが多い
2)当時も今も定常状態だとすれば、環境収容力が変わっている。あるいは当時も定常状態ではなかった。
 ということになるでしょう。
 それから、今も200頭ずつ獲っているのですか。それでしたら、計算は変わります。表1では1970年以降は捕獲数が0と仮定しています。当然、獲っていれば増加率は自然増加率よりも低くなります。
 【】皆さんが同意できる推定の範囲(一意的でなく、範囲です)で計算すれば、比較的に間違いのない合意ができると思います。
【密度効果を考えると、たくさん駆除すればたくさん駆除するほど、自然増加率はあがってしまうのではないかという指摘に対して】 はい。その通りです。
【鹿の増加する地域は】 西部林道でしょう。そして、あそこも元は里地の原野ではなく、今後同じような場所が他にも現れると私は思いますが、どうでしょうか。【】
 フェンスと捕獲を組み合わせる(移動経路の遮断も工夫する)という考えに賛成です。西部林道が最大の増加の源だと私は思います。あそこをフェンスで全部遮断することができますか?全部は無理でも、大量捕獲が可能ならば、それが一番良い。それができないなら、世界遺産の自然を当面はあきらめて、農林業被害対策に的を絞ることになります。
 私は、森林部分も激甚な被害がでるまで鹿は増え続けると思います。里地をフェンスで遮断すれば、山で増えるでしょう。山で生きられないから林道沿いに出るのではなく、林道沿いのほうが楽に生きられるからだと私は思います。
 いずれにしても、島全体で大量捕獲するというのは(社会合意としても技術的にも労力的にも)現時点では御伽噺だと思います。だとすれば、できるところから手をつけることになるでしょう。屋久島全体が大台ケ原正木峠(あるいは金華山洞爺湖中島)のようになるには、30年はかかるでしょう。後3年程度で、議論して、情報を集めて、現実的な方策を合意すればよいと思います。
 私個人は、地元で鹿肉を管理して利用する体制ができてくれば、必要に応じて獲ることができるし、乱獲を避けるには牡鹿を獲ればよいのですから、十分解決すると思います。数と面積としては、北海道よりはずっと楽です。