Date: Thu, 23 Nov 2006 17:49:34 +0900
皆様
11月22日の東京大学海洋研究所共同利用研究集会「漁業管理におけるリスク評価と合意形成のための社会経済学的アプローチ」は参加者名記入欄が足りなくなるほど盛況でした。約120名ほどが参加されたようです。活発な討論、ありがとうございました。
秋田のハタハタ(杉山さん)、愛知のイカナゴ(冨山さん)、京都のズワイガニ(牧野さん)は日本の沿岸漁業管理の金字塔です。杉山さんと冨山さんの「語録」には感銘を受けました。
冨山語録
- 豊凶の科学的根拠を(漁業者のリーダーに)わかりやすく説明する
- 順応的なMPA設定(不必要な規制は不信のもと)
- 漁業者が困ったときに助け舟を出す
- 漁業者参加型の資源調査(意識的に取り込む)
- 世界の資源枯渇宣伝への対応
- 漁業者がやれることをやる
杉山語録
- シミュレーション研究の説得力
- 自主管理だから税金で支援できる?
- 他に儲かるものがあれば、自主管理を実行できる
- 地域コミュニティーの結束、
- ハタハタは鰰(神の魚)
- 合意形成期間は半年、漁業種ごとに頻繁に会合
- 漁協単位の配分は水試・行政が関与せず、漁業者の自主決定
中でも、自主管理には行政の手立てが必要という杉山さんの話は新鮮でした。知床世界遺産では、自主管理だから水産庁は海域管理計画の当事者にならないといっています。これはどういうことでしょうか。水産庁は、自分たちが自慢すべき漁業者の自主管理も、資源管理型漁業も何も理解していないのではないでしょうか。
もちろん、環境省が加わっていますから、行政が面倒を見ることは可能です。世界遺産地域では、それは環境省の仕事ということになるのでしょう。