水産環境保全委員会シンポジウムのお礼

Date: Sun, 6 Apr 2008 03:20:33 +0900
 当日は水産環境保全委員会主催の大変有意義なシンポジウムに参加させていただき、ありがとうございました。大変光栄です。
 総合討論の際に申し上げた点ですが、再度説明します。漁場形成における合意形成には漁業者以外(市民、消費者など)も含めるべきであると私は申しました。この見解は今も変わりません。持続可能な漁業が経済的に順調に成立している海域といえども、一般論として、漁業が得られる漁場の生態系サービスの価値は生態系サービス全体の一部であり、むしろ漁業利益以外の価値の方が多いと試算されることはすでに定説だと思います。私は日本の沿岸の漁業権制度が必ずしも悪いとは思っていません。むしろ、自由参入に比べて低費用で有効に資源管理可能な側面もあり、漁業者がいるからこそ漁場の生態系を健全な状態に維持できる側面もあると思います。しかし、そのことと、上記のことは矛盾しません。海で漁業を営むことは漁民だけの排他的な権利だとしても、海を利用する権利は漁民だけのものではないと思いますし、ほかの生態系サービスを守る責任は漁民にあると思います。一般論として、漁場でどう漁業を営むかはほかの生態系サービスにも密接に影響しますから、漁場形成における合意形成には、漁民以外の利害関係者を参加させるべきだと思います。むしろそのほうが、漁業の重要性を社会に認めてもらうことができるでしょう。